2012年 10月 25日
鳥取県倉吉市の近代建築その1 古い町並みが残る倉吉の旧市街地の東に、土蔵造りの和洋折衷建物が建っています。 この建物は、旧第三国立銀行倉吉支店として明治41年に建てられました。 白塗りの蔵が並ぶ観光スポットからはやや距離を置いた場所に建てられていますが、周囲の古い商家と良く馴染む白壁2階建ての土蔵造り。コーナーの玄関部分に洋風意匠を用いる以外は純和風の意匠です。 反面、内部は吹抜けを設けた当時の一般的な銀行の仕様で、洋風を基調としたものとなっています。 この銀行支店が土蔵造りとされた経緯については、明治38年にこの一帯で発生した大火を教訓としたものとされています。 明治期の地方銀行の店舗にはこのような土蔵造りの建物が多く、本格的な鉄筋コンクリート建築が普及するまでは、優れた耐火建築としてこの構造が使われていました。 同じく現存する第三国立銀行の松江支店も土蔵造りの店舗となっています。 側面に採光用の窓が設けられている以外は普通の土蔵建物。2階窓の分厚い扉も蔵そのものです。 シンプルな玄関周り。腰回りと共通の石を貼ってアクセントとします。 店内は改修されて喫茶店に使われています。 2階へ上る階段や犬走りが当時のまま残され、レトロな雰囲気がこの用途に良く合います。 飲食店としての用途は観光地ならではの的を得た活用事例でしょう。古い町並みに調和して優れた景観を為しています。 築100年を過ぎた今尚良好な状態が保たれているこの建物は、明治の一時期に流行った土蔵造りの偽洋風建築の現存例として、極めて貴重な資料です。
by sunshine-works
| 2012-10-25 21:35
| 近代建築 鳥取県
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