2012年 10月 01日
朝来の近代建築その2 生野の中心口銀谷(くちがなや)地区の東、静かな町並みに並ぶ民家の敷地に、小さな木造洋館が建っています。 この建物はかつてこの地で開業していた医院の待合室として使われていました。 築年は明治20年頃、地元の大工によって施工された儀洋風建築です。 木造平屋、羽目板貼り、和瓦を葺いた寄棟造り。重厚な軒蛇腹や鎧戸、小さな庇を張出す玄関ポーチを備え、小規模ながら当時の洋風建築の技法を随所に盛り込んでいます。 この建物は、生野の漢方医だった海崎一貫が生野鉱山のお抱えフランス人医師に西洋医学を学び、自宅の一角で医院を開業した際に建てられました。海崎医院はその後、生野で最も古い医院として親しまれますが、大正15年に2代目が夭折した後は後継が絶え、この待合室は使われる事のないまま今日まで残されています。 この建物で特筆すべきは、格天井の一葉毎に描かれた豪華な天井画にあります。 花鳥風月をモチーフとした日本画が描かれた30センチ四方の格子板81枚が天井いっぱいに並べられ、見る者を魅了します。 鎧戸を備えた両開きの窓。 素晴らしい天井絵を持つこの医院建物は、早くから西洋文化を採り入れた生野の先進性と豊かな文化的素養を示します。 生野に数多く建てられた洋風建築の中でも明治20年まで遡る建物の現存例は旧生野警察署に次いで古く、初期の儀洋風建築の姿を伝える資料として貴重です。
by sunshine-works
| 2012-10-01 23:33
| 近代建築 兵庫県
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