2012年 08月 25日
香川県坂出市の近代建築その6 坂出駅の西側、商業地区の裏手に木造2階建ての旧校舎が残されています。 坂出市郷土資料館として使われているこの建物は、大正年8年に坂出高等商業学校の本館として建てられました。 木造2階建て下見板貼り、中央に車寄せ庇を張出し、左右シンメトリーに棟を配置、中央屋根に三角破風を飾り、日本瓦で葺かれた屋根にはドーマー屋根と小さな塔屋を乗せています。 大正中期の学校建築の特徴が良く現わされており、県内では翌年に建てられた粟島航海学校本館と並ぶ大正期の校舎建築の現存例となります。 西讃の拠点都市だった坂出には、明治34年に県内2番目となる商業学校が開かれていました。この時設置された香川県立商業学校は、その後市立高松商業学校と統合される事となり、代わって大正3年に設立されたのが坂出商業学校の前身となる綾歌郡立商業学校でした。 この校舎は同校が県立坂出商業学校へと改編される際に建てられたものとなります。 明治期の学校建築に特徴的な豪奢な装飾を施した重厚な意匠も、この時期になるとモダンで洗練された校舎へと変わっていきます。この坂出商業学校校舎に見られる1階と2階の窓の配置に連続性を持たせ、垂直方向のラインを強調する手法は、学校や庁舎等の木造建物に数多く使われます。 正面玄関とその周辺部の詳細です。 下見板貼の外壁。合わせ目に段差が無いドイツ下見板です。 側面と裏側にも小さな入口が設けられています。 坂出高等商業学校は戦後に県立坂出商業高校として引き継がれ、前身の綾歌商業学校から数えると約100年に及ぶ長い歴史を持つ商業学校として今日に至ります。 60年に渡って商業学校の学舎として使われたこの建物は、商業の拠点として栄えた坂出を象徴する貴重な歴史遺産となっています。
by sunshine-works
| 2012-08-25 17:57
| 近代建築 香川県
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