2012年 08月 21日
岡山県倉敷市の近代建築その2 白壁の蔵が並ぶ倉敷の美観地区の南東、市庁舎の一角に現在資料館として使われている古い木造建物が建っています。この建物は旧倉敷幼稚園舎として大正4年に建てられ、昭和51年まで使われていました。設計は県内で多くの学校建築を手掛けた江川三郎八とされています。 元々の園舎はここから1キロほど北の倉敷市の中心部に建てられていました。当初、取り壊される予定だったこの園舎については保存を求める声が強く、一旦解体された後の昭和56年に当地へ移築されています。(移築に際しては建物の一部が省かれ、左右両翼が短縮されています) 玄関の両脇に応接室と保育室を並べ、その奥に八角形の遊戯室を設けます。八角形の遊戯室は、同じく江川三郎八の作となる岡山旭東幼稚園舎や同時期に県内数箇所に建てられた幼稚園に見られ、他県ではあまり見かけない独特のものです。また、この園舎の八角屋根は中央に支柱を持たず、壁と屋根組で支える工法が採り入れられています。 詳細はこちらをご覧ください。 大きなアーチで飾られた正面玄関。これ以外にも随所に江川三郎八の作品に共通する建築意匠が見て取れます。 開放式の廊下から館内を伺います。 明治41年に建てられた岡山旭東幼稚園は遊戯室を中心に4方向に棟が繋がるユニークな形状でしたが、7年後に建てられたこの園舎は至ってシンプル且つオーソドックスな構造です。 敷地効率や使い勝手に配慮してこの配列へ進化していったようです。 遊戯室の側面です。向って右が玄関側、その裏手に遊戯室が繋がります。 遊戯室の背部です。 義務教育機関だった小学校に比べると、戦前に設置された幼稚園の数は少なく、その現存例となるとさらに限られたものとなります。 これらの中でもこの旧倉敷幼稚園舎の優れた機能性と豊かな装飾表現は、学校建築史の上で極めて貴重で価値の高いものとして平成12年に有形登録文化財の指定を受けています。
by sunshine-works
| 2012-08-21 20:22
| 近代建築 岡山県
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