2012年 01月 25日
香川県観音寺市の近代建築その2 讃岐山地を発して三豊平野を西流し瀬戸内海に注ぐ財田川の河口近く、観光名所の琴弾公園の手前に三連のアーチ橋が架かっています。日本百名橋にも選ばれたこの橋は、四国では珍しい鉄筋コンクリート橋として昭和10年に架けられました。 観音寺の中心市街地から宅間方面へ伸びる街道が財田川を渡る箇所に架けられた三架橋は、西讃の中心都市だった観音寺の交易を支える橋として代々重要な役割を担うと共に、町の中央を貫く財田川を彩る景観の要としても親しまれていた橋でした。 木橋だった旧橋の架け替えに際しては、三連の太鼓橋だった江戸期の橋の姿を再現するようなコンクリートアーチ橋が採用され、ランドマークとしての橋の役割を考慮した美しい橋となりました。 コンクリート橋は歴史としては古くからあるものですが、近代橋梁としてのコンクリート橋は鉄筋コンクリート技術が確立された大正期以降に普及していきます。当初はそれまで石や煉瓦で造られていた上路アーチ橋の素材をコンクリートで置き換えたものが殆どでしたが、橋梁技術が進むにつれてこの様な下路式のコンクリートアーチ橋が開発されます。 特に戦時色が強まる昭和10年代には、鉄材の不足を補う目的で導入されて行きました。 昭和10年に架けられた三架橋が鉄筋コンクリートアーチ橋となった経緯にもこの様な理由があったと推測されます。 橋上に滑らかな曲線を描くアーチ部分。コンクリートアーチならではの優雅さです。 旧市街地を抜けた先から橋の南詰を眺めます。橋の向こうは寺社が建ち並び、古くから市が立てられた賑やかな一角でした。
by sunshine-works
| 2012-01-25 22:28
| 近代建築 香川県
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