2011年 11月 02日
備中の鉄道遺産その1 山陽道の中央に位置する岡山は、明治半ばより近畿、九州、山陰を結ぶ路線が県内に廻らされ、昭和初期には瀬戸内沿岸から中国山地の奥地に至るまでの広範な鉄道網がほぼ完成されていました。 岡山県の西半分を占める備中地区も明治24年に山陽本線が延伸され、その後米子を結ぶ伯備線や播磨、広島北部を結ぶ路線が整備されていきます。 昭和初期に完成した備中の鉄道路線は、主要幹線である山陽本線を除くとその殆どが長閑な田園地帯や山合いを走る区間で占められ、70年以上を経た今も昔ながらの風景の中に開業時に遡る古い駅舎や橋梁が数多く点在しています。 岡山備中の近代建築探訪はこれら備中に残る鉄道遺産廻りからスタートします。 岡山の北西部の拠点新見市から広島県北東部を経由して広島駅へ至る芸備線は総延長160キロに及ぶローカル線で、長距離路線でありながら全区間を結ぶダイヤを持たない事、優等列車が廃止されて各駅停車と快速のみで運行されている事、都市近郊鉄道の側面と山間部を繋ぐ生活路線としての側面を併せ持つ事等、同時代に開通した姫新線とよく似た性格を持っています。 全線で44駅ある芸備線の駅舎で岡山方に設置されている駅は全部で5駅。これらは芸備線の母体の一つとなった三神線として起工された最初の区間にあたり、昭和5年の同線開通時の駅舎として矢神・野馳の両駅が当時の姿を伝えています。 矢神駅は三神線の最初の開通区間の終点として昭和5年2月に開業します。現存する駅舎はこの時に設置された物ですが、昭和47年の無人化に伴って本屋の左半分にあたる執務室部分が撤去されています。当初の姿とは趣を異にしますが、残された旧待合室部分やホームの風景には開業時の面影を窺う事が出来ます。 昭和初期の地方駅舎に良く見られた切妻屋根の玄関庇。建物が半分以下の規模となってしまった現在はやや不釣合いな大きさになっています。 ホームは2面2線。小さな駅ですが列車の行き違いが出来るホームを備えています。 芸備線の岡山区間で最も西に位置する野馳駅。昭和5年11月の三神線延伸時に設置されました。 昭和初期の地方駅舎の典型例とも言える造りです。 ひっそりとした待合室。ベンチに人影はありません。 小さな待合室からホームへ出ます。
by sunshine-works
| 2011-11-02 22:40
| 近代建築 岡山県
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