2011年 06月 29日
香川県多度津町の近代建築その2 予讃線と土讃線の分岐点となる多度津駅は現在のJR四国の駅としては最も早い明治22年に開設され、120年を経た今日に至るまで四国の鉄道網の要として重要な役割を果たしてきました。この多度津駅には戦前から続く機関区が併設されていますが、この構内にはSL時代の名残りを示す2基の給水塔が現存しています。 駅の西側、善通寺方の線路脇に2基の給水塔が並んでいます。煉瓦製の給水塔は大正2年頃の築、鉄骨製の給水塔は昭和初期または戦後すぐの築と言われています。 この煉瓦製の給水塔は多度津駅が現在地に移された大正2年に建てられたものと思われます。煉瓦を直径5メートルの円形に組み、上部にコンクリートの貯水槽を乗せています。 本来が実用本位の施設として建てられた物ですが、頂部には御影石の傘石を巡らせ、円筒形の煉瓦壁に設けられた窓と出入口の縁に切石を嵌める等、装飾的にも凝った造りとしています。 出入り口の扉は失われ板で塞がれています。 円筒部分の頂部に傘石が載せられ、その上に貯水槽が置かれます。 使われなくなった給水管がそのまま残されています. 周辺は廃材置き場となっており、由緒ある施設にしては些か勿体ない使われ方です。 隣接する鉄骨製の給水塔。正式な築年は不明ですが、昭和前期の物と思われます。 古レールを組み合わせた骨組みの上に鋼板を繋いだ貯水槽を据え、八角形の屋根を載せます。 隣り合う煉瓦の給水塔とは対照的に非常に簡素な構造です。この給水塔が建てられた頃はこの種の施設はどれも概ね装飾要素が省かれていました。 蒸気機関車全盛期には各地の機関区にこの様な給水塔が設けられていましたが、四半世紀を過ぎた今日、現存する物は僅かな物となってしまいました。この多度津駅の様に異なる年代の特色を示す給水塔が当時のまま残されている事例は全国的にも珍しく、鉄道遺産として貴重な資料となっています。
by sunshine-works
| 2011-06-29 21:46
| 近代建築 香川県
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