2011年 04月 13日
岡山県津山市の近代建築その16 美作で最も長い歴史を持つ岡山県立津山高等学校は明治28年に旧制中学校として開設されました。同校には明治33年に建てられた校舎が現用施設として使われています。 津山尋常中学校時代の明治33年、現在地に移転した際に新校舎として建てられたのが現存する旧本館です。その後に新校舎が敷地内に増築されていきますが、この旧本館は現在も同校の中心建物として使われています。 下見板貼の木造2階建て、寄棟造。和風の桟瓦を葺いたこの時代に典型的な学校建築です。地方都市の中等学校校舎としては規模が大きく、風格を備えた建物となっています。 正門から真っ直ぐ進んだ所に車寄せを備えた玄関を構えます。手の込んだ細工が施された庇を4本の角柱で支え、床には切石が敷かれています。 玄関の左右に上げ下げ式の縦長窓が並びます。 中央の屋根頂部に小さな時計塔、その後ろに鉄板葺の塔屋が乗せられています。 側面から裏側の景色。背後に延ばされた増築部は昭和10年の築です。 岡山県内に数多く残る木造校舎の中でも明治期に起源を持つ旧制県立中等学校で最古の校舎です。 城下町として学問が栄えた津山の伝統を受け継ぐ校舎であり、岡山の学校建築史の上でも極めて貴重な存在となっています。
by sunshine-works
| 2011-04-13 23:54
| 近代建築 岡山県
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Comments(6)
こんにちは!久々にお邪魔しました。
これは驚きました現役の立派な「木造校舎」ですね。 校門を通れば背筋をピンと伸ばしたくなるような 風格を感じます。 現存現役の木造校舎には脱帽です^^
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sunshine-works at 2011-04-17 10:17
太郎さん こんにちは。
各地に古い木造校舎が残されていますが、明治期の旧制中学校舎が現役で使われていると言うのは本当にすごい事です。しかも部分保存では無くこれだけの規模で残されているのも貴重ですね。
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S50年卒業生
at 2011-08-11 08:40
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同校OBです。たいへん懐かしく見ました。
たくさん上げ下げ窓がありますが、その左右の壁の中に錘がぶら下げられていて、滑車で窓とバランスをとっているので、窓の上げ下げが楽にできるようになっていました。
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sunshine-works at 2011-08-12 15:24
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平成2年卒業
at 2022-06-03 19:34
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OBです。私が在学中は職員室、放送室、自習室などで使われていました。通称は本館。廊下が歩くとキュッキュッと鳴り鶯張りみたいで、さすがは県重要文化財と思ってました(今は国指定ですが)。
(今は違いますが)私が在学中は昭和20年代に建てられたらしい木造校舎が教室となっていて、冬は隙間風が入ってくるのに、学校の方針で勉学の邪魔になるとかでストーブがなかったのに、本館の自習室にはちゃんとストーブがあったのが未だに解せません。重要文化財が燃えたらどうすんだよ?逆にしろ!と思ってました(ちなみに、職員室にも勿論ストーブありました)。 文化財としては凄いし誇りに思いますが、正直あの高校じゃなく別のとこ行っておけばよかったと思ってます(笑)。進学の妨げになるからと修学旅行がなかったりしましたしね!(今はあるそうですが)
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sunshine-works at 2022-06-07 10:23
> 平成2年卒業さん
コメント有難う御座います。内陸部の津山でストーブ無しはいささか厳しいですね。ここは全国の高等学校の校舎の中で、戦前築の木造校舎が今尚現役で使われている数少ない事例です。長く残されてほしいいものです。 |
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