2010年 10月 16日
中国電力奥津発電所調整池/恩原ダム
岡山県鏡野町の近代建築その5

前回紹介した奥津発電所は吉井川水系からその発電用水を得ていますが、用水を蓄える調整池にはバットレスダムと呼ばれる珍しい構造が用いられています。昭和初期に数例築かれた同形式のダムの中でも、この奥津発電所調整池は俊工事の状態がそのまま残る極めて貴重な物です。昭和8年築。
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建築用語で言うバットレスは控壁と訳され、壁面に直角に交わる支え壁を指します。バットレスダムは水圧を受ける擁壁を格子状に組んだバットレスで支える物で、一般的なダムに比べてコンクリートを節約できる利点がありますが、構造が複雑になる事と凍結によるコンクリート壁の補修に手間がかかる為にそれほど普及しなかったようです。
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調整池内部。全体の半面がバットレスの壁面です。
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バットレス部分の上部を渡る管理用通路。
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ゲート部分
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この貯水池から斜面を水圧鉄管が奥津発電所へ駆け下りて行きます。
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恩原ダム

奥津発電所の北、鳥取県との県境近くに同形式のダムが築かれています。平作原発電所の発電用水調整池として昭和3年に竣工しました。
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この恩原ダムも奥津発電所調整池と同時代の築ですが、凍結によるコンクリートの劣化対策として後年にバットレス部分が補強され、当初より分厚い擁壁となっています。
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試行錯誤の中で生まれたバットレスダムでしたが、思ったほどのメリットを見出せず、中国地方を中心に数例が築かれた後に廃れていきました。とは言え、6例が現存するこれらのバットレスダムは、高い技術を要するこの方式のダムをこの時代に実現させた日本の土木技術の優秀さを推し量る好例として極めて貴重な資料となっています。
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by sunshine-works | 2010-10-16 23:48 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
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