2010年 03月 07日
宝塚の近代建築その3 大都市近郊のリゾート都市として開発された宝塚は、発展に伴って多くの観光・娯楽施設が建てられて行きます。宝塚を代表する名門ホテル、宝塚ホテルは大正15年、古塚正治の設計で建てられました。 明治43年、阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道が梅田・宝塚の間で開業します。従来の都市間鉄道と異なり、非都市部に向かって伸ばされたこの路線は、積極的な沿線開発によって乗客の創出を行うその後の郊外型私鉄の原型となりました。 同社を率いる小林一三は、イギリスの田園都市構想に範を採った宅地開発によって沿線人口の増大を図る一方で、武庫川の畔に位置する風光明媚な宝塚を温泉リゾート地として開発し、都市圏からの集客を図ります。それまで小さな寒村にすぎなかった宝塚には、やがて大温泉、劇場、遊技施設、近郊のゴルフ場等のレジャー施設が次々と整備されて行きます。 大阪の奥座敷として宝塚が変貌を遂げつつあった大正15年、阪急電鉄系列初のホテルとして宝塚南口駅前に開業したこのホテルは、やがて宝塚の文化と社交の中心としての役割を担って行きます。 *創業当時の逸話はこのサイトが参考となります。 この時期、阪神間で多くの作品を手掛けた古塚正治を代表する建物です。最上部を飾る大きな三角ペディメントや瓦葺の切妻屋根を用いたクラシカルな雰囲気の中にアールデコ洋式を取り込んだ、優雅さとモダンを備えた意匠となっています。 太い列柱が並ぶ館内。 都市近郊に花開いた阪神間モダニズムと呼ばれる文化を担った阪急グループの聖地がこの宝塚でした。 その後80年を経た今日、当時を伝える建物は僅かな数が残るだけとなってしまいましたが、この宝塚ホテル旧館に華やかなりし頃を偲ぶ事ができます。
by sunshine-works
| 2010-03-07 23:37
| 近代建築 兵庫県
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