2010年 02月 04日
三田の近代建築その3 神戸電鉄横山駅から緩やかな坂を上っていくと、私立三田学園の校地が見えてきます。この学園には明治時代に建てられた木造校舎が現役施設として使われています。 広大な敷地に多くの校舎や付属施設が建てられている中で、創設時の建物である中学本館と、特別教室棟として大正期に増設された東館が並んでいます。 明治45年に建てられた中学本館(手前)と奥に見える東館。築年に15年程の隔たりがありますが、ほぼ同様なデザインで統一されています。 どちらの建物も木造2階建て、下見板張、各面に設けた三角破風や屋根窓を特徴としています。 三田藩の藩士で、幕末から明治にかけての神戸で実業家として活躍した小寺泰次郎の構想に基づき、息子の謙吉によって設立されたのが私立三田中学です。兵庫県内には阪神間を中心にその後多くの私立中学校(旧制)が開設されますが、明治に始まる私立中学校は、当時大阪や京都でも数校が挙げられる程度でした。イギリスのパブリックスクールに範を採った独創的な校風も相まって、各地から優れた学生達が集う名門私学として高い名声を得ていました。 本館側面の入口です。ポーチが設けられ、三角の破風で飾られています。 本館の南面です。 道路を挟んで東側に建つ東館。本館とよく似た造りです。 東館越しに見る本館。 東館の北側。建物両翼が伸びてコの字型となっています。 建物内部。どちらの建物も、ほとんど昔のままの状態が保たれています。 各地に現存する明治期に建てられた木造校舎の多くは、校舎としての役割を終えて記念館や他の用途として使用されているのですが、この旧三田中学校舎は今もなお現役で使い続けられている数少ない事例です。 木造校舎として第一級とも言えるこの建物は、名門校の伝統と風格を象徴するに相応しい存在感を示しています。
by sunshine-works
| 2010-02-04 21:34
| 近代建築 兵庫県
|
Trackback
|
Comments(4)
三田学園、素晴らしいですね。
12月に三田を探訪した際、三田学園にも行ってみたのですが、年末だったこともあって(?)敷地内に入れずで、外から遠目に古い建物の背面と思しきものを眺めただけでした。ここは普段、外観だけでも見学させて頂くことは可能なのでしょうか?ブログでの写真からは文化祭か何かのときに見学されたのかなとも思ったのですが。
0
Commented
by
sunshine-works at 2010-02-05 01:08
ひろ009さん、こんばんは。
お察しのとおり、秋の学園祭の際に撮影したものです。普段はおそらく立ち入りは禁止されているのだと思われますが、学園祭の時には館内も自由に見ることが出来ました。写真では伝えきれない素晴らしい魅力に溢れた建物です。日程が合えば是非とも学園祭にお出かけください。
Commented
by
agen
at 2010-02-23 11:34
x
はじめまして、日頃拝見楽しみにしています。
さて、三田学園の該当校舎は公道からの見学は難しいので、駄目元と思いつつ当校にメールしたところ、登校日以外なら外観見学はOKでした。日曜日に横山駅に近い門から入ったのですが、自由に撮影できました。ただし、今回当校ホームページを見ると「校内立入許可書」を発行してもらう必要がありそうです。私の2年前の時はそんな話はされなかったのですが。
Commented
by
sunshine-works at 2010-02-24 00:02
agenさん はじめまして&コメントありがとうございます。
学校の見学が次第に厳しくなって行くのは、ある面、仕方の無い事なのでしょう。オープンスクールや学園祭を利用するのが順当なのでしょうが、人が多くて撮り辛いのが難点です。(あまり贅沢を言える立場ではありませんが・・・) |
アバウト
カレンダー
カテゴリ
タグ
鉄道施設(189)
橋梁・隧道(184) 学校建築(146) 京都市(106) 住宅(99) 庁舎(92) 島根県(76) 広島県安芸地区(74) 愛媛県(73) 香川県(66) 神戸市中央区(66) 岡山県備中地区(65) 銀行(63) 事務所ビル(59) 兵庫県阪神地区(59) 岡山県備前地区(59) 兵庫県播磨地区(57) 京都府丹後・丹波地区(55) 兵庫県丹波・但馬地区(53) 軍事施設(50) 以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||