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2009年 06月 04日
姫路の近代建築その14 兵庫県の瀬戸内海沿岸地域は古代から製塩業が発達した地でした。入浜式製塩に欠かせない条件である乾燥した気候と遠浅の海岸線に恵まれた姫路にも多くの塩田が作られ、県内では赤穂と並ぶ塩の主産地となっていました。これらの塩田施設は、近代製塩技術の発達によって姿を消してしまいましたが、唯一当時の名残を示す建物が現存しています。現在は民間企業の社屋として使われているこの建物は、赤穂塩務局網干出張所として明治後期に建てられたものです。設計:大蔵省営繕課 ![]() この建物の築年については資料が乏しく詳細は不明ですが、明治38年の塩の専売化に伴って全国の主要な塩産地に塩務局が設置されて行った時期の物と思われます。 ![]() 飾り気の無い、あっさりした印象の建物です。屋根に設けられた通風窓や入口庇の装飾表現がアクセントとなっていますが、いかにもこの時代の地方役場といった風情です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 建物の左右に入口が設けられています。こちらが主玄関と思われます。 ![]() ![]() ![]() 建物側面。妻部分のアーチ型の換気口が良い雰囲気です。 ![]() 全国の塩田地帯に建てられた旧塩務局の局舎ですが、専売制度が廃止されて10年以上を経た今日も転用されて生き永らえている建物が幾つか残っています。 明治時代の木造建物を現用施設として使い続ける手間隙は大変な事とは思いますが、この建物等は殆ど当時のままの姿が保たれており、建築資料的価値は相当高いと思われます。赤穂の旧塩務局は別格として、このように小規模な局舎も各地の製塩の歴史を留める意味からも、積極的に保護していくべきではないでしょうか。 ![]()
by sunshine-works
| 2009-06-04 20:49
| 近代建築 兵庫県
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Comments(2)
昨年見てきまして、現存はしており現役で使用されていましたが
補修?なのか塗装がやりかえられていてかなりカラフルに・・・雰囲気が全く異なるものになってしまっていました。
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ワイスカさんコメント有難うございます。
撮影当時は結構荒れた状態に見えましたので心配でしたが、綺麗に補修されたのだと思います。 色合いについては難しい処ですね。どの建物も新築当時は鮮やかに輝いていたはずですし。 |
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