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2008年 09月 16日
川崎病院
神戸兵庫区の近代建築その6

旧神戸市森高等女学校のすぐ傍に昭和初期築の大きな病院が建っています。この病院は川崎造船所(その後は川崎重工)の病院として昭和11年に設立されました。設計:木下益次郎(木下建築事務所)
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明治以降に兵庫区の臨海部に進出した三菱・川崎両造船所によって工場周辺や後背地域は企業城下町として大きく発展していきます。当時の多くの大企業がそうであったように、やがてこの両社は病院を設立し、社員や周辺住民に向けた医療サービスを開始します。
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この病院が建てられた当時の川崎造船社長、平生釟三郎は当時を代表する基幹産業の社長・会長を歴任した実業家ですが、社会奉仕にも積極的に取り組み、灘生協の創設や甲南大学、甲南病院の設立者としても知られています。
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この川崎病院の設計者である木下益次郎と平生釟三郎は縁が深く、平生釟三郎が設立した甲南病院や川崎造船の系列会社である川崎汽船の本社(神港ビルヂング)も木下益次郎が設計しています。確かに、この川崎病院の全体の雰囲気は甲南病院に共通するものがあります。
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広大な敷地には本館の他にも付属棟が数棟建てられています。
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現在では大規模な事業所が地域に自前で病院を設ける事例は数少なくなってしまいましたが、医療体制が現在ほど整っていなかった当時は大資本による企業立病院の存在は公共医療の隙間を埋め、先端医療の導入に大きな役割を果たしていました。
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by sunshine-works | 2008-09-16 21:54 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 01月 13日
神港ビルヂング
神戸中央区の近代建築その16

チャータードビルと道を隔てて西隣に建っているのが神港ビルヂングです。この建物は川崎汽船の本社ビルとして昭和14年に建てられました。設計:木下益次郎。
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日本の三大海運会社に数えられた川崎汽船は川崎造船を母体として設立された会社です。三大海運会社の中で唯一神戸を本社としており、この建物も本社ビルに相応しい壮大なスケールの造りとなっています。デザイン的には当時流行していたアールデコの影響を強く受けており、古典様式の郵船ビルや優雅な大阪商船ビルとはまた違った、モダンでスマートな印象に仕上がっています。
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1つのブロックの南北を貫く大きなビルです。鉄筋コンクリート石貼りの外観は海岸通りに並ぶ他のビルに共通した仕様です。
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大きく長さのあるビルなので各所に入り口があります。
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このビルを特徴付けているのが屋上の東南角にある美しく飾られた塔屋です。他のビルより一段高い位置にあって海岸通りのどこからも良く目立ちます。
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屋上から眺めた塔屋の詳細。最もアールデコの雰囲気が漂う部分です。
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中側は一体の建物ではなく、4面のビルに中央回廊を渡した日の字型構造になってます。
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海岸通りに並ぶ神港ビルとチャータードビル
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このビルを本社としていた川崎汽船ですがその後実質的な本社業務は東京へ移っていきます。現在このビルは賃貸事務所ビルとして使用されているのですが、川崎汽船の登録上の本社地は今もこのビルの8階に置かれています。
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by sunshine-works | 2008-01-13 01:27 | 近代建築 | Trackback | Comments(11)
2007年 07月 31日
甲南病院

神戸東灘区の近代建築その7

御影の山の手、市街を見下ろす高台にタイル貼りのクラシカルな病院が建っています。昭和9年に設立されたこの甲南病院は総合病院としては神戸市内に唯一残る戦前の建物です。設計木下建築事務所。
*管理者より訂正:神戸市には企業系の総合病院(三菱や川崎)が戦前築の建物として現存していました。別途紹介したいと思います。
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全面タイル貼、アールを付けたコーナー、胴蛇腹や軒蛇腹の多用、1階主要部のアーチ窓等当時のオフィスビルや商業ビルに多く用いられたデザインです。
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甲南病院の創設者平生釟三郎は神戸と深い縁があります。実業家として大企業の社長・会長を歴任し政治家としても活躍した平生釟三郎は当地に教育機関として甲南大学を建学し、医療施設としてこの甲南病院を開設しました。また今日の市民生協の先駆けとなった灘生協(コープ神戸の前身)の創設にも係わっています。高級住宅地として開発されていった住吉村や御影町一帯の生活・文化基盤の整備に大きな貢献を果たしました。

よく見ると最上階の質感が違います。後年に増床をしているようです。
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太い大きな煙突。煙突もタイル貼です。
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日当たりの良い南面が正面(表)にあたります。病室や診療室からは市街や海が一望できる事でしょう。
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北側のエントランス周辺です
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エントランスホール天井には明り取り用のガラスブロックが嵌められています
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個人医院には戦前築の建物が残っていますが、大規模な総合病院となると近年多くが建て替えられてしまいました。さすがに最先端の医療施設を運用するには無理があるのでしょうか。積み重ねた信頼のシンボルでもある歴史と風格を備えた建物を壊してしまうのは些かもったいない気がします。
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by sunshine-works | 2007-07-31 23:15 | 近代建築 | Trackback | Comments(5)