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2008年 10月 06日
三菱重工神戸造船所本館
神戸兵庫区の近代建築その11

和田岬駅の南には三菱重工神戸造船所の工場施設が連なります。広大な敷地の入口に位置するこの大きなビルは昭和13年に本館として建てられ、今も現役施設として使われています。設計:三菱造船所。
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現在は神戸港の一部となっている兵庫港ですが、元々は兵庫津、その前は大輪田の泊と呼ばれ、瀬戸内海の海運の要衝でした。兵庫津の南側に突き出た和田岬は幕末には沿岸防備の砲台が置かれ、明治初年には灯台の設置場所となっていました。
この和田岬周辺を埋め立てて明治38年に開設されたのがこの造船所です。長崎に継ぐ三菱2番目の造船所として操業を開始した神戸造船所は数々の大型船舶・艦艇の建造を手掛け、同社の主力造船所として発展していきます。工場事務所としては非常に大きく立派なこの建物からしてもこの造船所の規模や位置付けが伺えます。
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緩やかにカーブを描く壁面に縦長窓が整然と並びます。装飾はほとんどありませんが曲面のラインと窓の配列のバランスが美しい建物です。
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塔屋に設けられた時計台が印象的です。この高さなら広い敷地のどこからでも見える事でしょう。
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工場敷地の付近にある4号館と名のある付属施設。本館と同時期に建てられたものと思われます。
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全面に豆タイルが貼られています。
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国際貿易港として商業中心に栄えた神戸ですが、工業分野でも日本有数の出荷額を誇る都市として発展しました。とりわけ日本の基幹を成す大企業が多く集まり、工業に於いても日本の先端地域となっていました。優美で堂々としたこの三菱重工神戸造船所の本館は、造船が基幹産業と呼ばれていた時代の風格を感じさせる建物です。
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by sunshine-works | 2008-10-06 23:11 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 09月 28日
旧川西機械製作所本社(富士通テン)
神戸兵庫区の近代建築その9

兵庫駅の南側から臨海部にかけての一帯は明治以降工業地帯として発展した地域です。三菱、川崎の2大工場を中心に大小さまざまな工場が建てられ、阪神工業地帯の中核を形成していきます。
兵庫駅と臨海部を結ぶJR和田岬線に沿って多くの工場が並ぶその中ほどに富士通テンの建物が見えてきます。この建物は前身の川西機械製作所の社屋として建てられたものです。
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川西機械製作所は日本毛織から発展した川西財閥の創業者、川西清兵衛が起こした会社です。親会社に由来する繊維機器の製造と新規事業として着目した航空機製造を2つの柱として操業を始めた同社は、その後も事業を拡大しラジオや通信機、真空管等で日本有数の技術を持つ会社となりました。(川西機械製作所から分社独立したのが川西航空機、後の新明和工業です。)
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敷地内には4棟の建物が確認できます。それぞれ築年が異なっているらしく、デザインや風合いがまちまちになっています。この地に最初の工場が建てられた大正末期の建物が残っている可能性もありますが、判別できません。ひょっとすると一番古そうなこの建物かも知れません。
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この建物も比較的初期に建てられた棟と思われます。ほとんど装飾要素はありませんが入口部分に時代を感じさせる意匠が施されています。以前の正面玄関だったのかも知れません。
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この棟もそこそこに年期を感じさせる建物ですが、やや時代は下ると思われます。
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裏側からの眺めはこのような感じです。
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正面入口を持つこの建物は最後に建てられたか、あるいは近年に補修を施された棟と思われます。昭和初期風のデザインですが、雰囲気を模して戦後建てられた可能性もあります。
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川西機械製作所の後身である神戸工業は昭和43年に富士通と合併、やがて車載音響機器のメーカーとして独立し社名を富士通テンとします。この「テン」の名は「天」を意味し、旧川西機械製作所時代にラジオのブランド名として使われていました。

かって神戸で隆盛を誇った川西財閥の中枢企業 川西機械製作所の名は今はありませんが、商標名は社名として引き継がれました。同様にこの旧社屋も創業の地で同社の歴史を今に伝えています。
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by sunshine-works | 2008-09-28 23:43 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 04月 12日
旧神戸瓦斯本社(神戸ガスビル)
神戸中央区の近代建築その39

神戸駅の西側に位置する新開地は、かって神戸最大の歓楽街でした。この新開地の入口に美しいアールを描いて建つこのビルは神戸瓦斯株式会社の本社として昭和12年に建てられました。関西で数々の名建築を手掛けた渡辺節の設計です。
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新開地は湊川の付替えに伴って河川敷を埋め立てて開かれた街です。後背地に福原遊郭を控え、演芸場や飲食店が軒を並べる東京の浅草や大阪の新世界に相当する庶民の娯楽の中心地でした。
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神戸を中心とした兵庫県を供給エリアとした神戸瓦斯ですが、昭和20年に大阪ガスと合併します。現在は大阪ガスの事業所として使われています。
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現在は2階以上の外壁にパネルが貼られていますが、当初は化粧タイルが貼られていたようです。
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歓楽街だった新開地の入口にはこの神戸瓦斯の本社と、ライバルにあたる神戸電燈の本社が並んで建てられていました。近代都市を支えるインフラ供給者である両社は神戸で最も賑やかだった場所に居を構える事となりました。需要拡大に利用者への啓発が欠かせない両社にとって、この場所は最良の場所だったのかも知れません。本社機能と併せて館内はショールーム機能や料理教室を開くPRスペースとなっていました。
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裏側は4階部分に張り出し窓がある以外は特徴の無い、あっさりしたデザインです。
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定礎には皇紀で竣工年が記されています。
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渡辺節の代表作である綿業会館、大ビル、大阪商船ビル等と比較すると、このビルはやや趣を異にします。外観はモダ二ズムのスタイルでまとめられ、館内はアールデコ風にデザインされています。
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市松模様に配色された床や当時では珍しいステンレスフレームのガラスドアが配された廊下は現在の感覚でも斬新なデザインです。
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磨き上げたステンレスが美しいエレベータ扉。
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神戸一の歓楽街として栄えた新開地ですが、繁華街が三宮に移った今では街の様相はすっかり様変わりしてしまいました。演劇場や映画館はマンションに姿を変え、沿道の店舗も今は数える程になってしまいました。このビルはモダンな建物が立ち並んでいた往時を偲ばせる唯一残された遺構になっています。
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by sunshine-works | 2008-04-12 01:44 | 近代建築 | Trackback(2) | Comments(2)
2008年 03月 27日
旧小橋呉服店(松尾ビル)
神戸中央区の近代建築その35

三ノ宮から神戸駅まで東西に長く連なるアーケード街の西の端に、大正期に建てられた商業ビルが建っています。大正14年築、設計施工 竹中工務店
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商業の中心が三ノ宮に移ってしまった現在では、人通りも少ないこのあたりのかっての繁盛ぶりを想像しがたいのですが、西から東へ発展して行った神戸の街の歴史の中で、この一帯は最も栄えていた場所でした。この隣にあった三越百貨店が撤退し、老舗店舗の多くも店を閉めて、かっての賑わいはまったく薄れてしまいましたが、当時を偲ばせる建物として唯一残っているのがこのビルです。
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大正時代に建てられた商業ビルとしては大きな建物です。当時の最新設備だったエレベータも設けられており、おそらく当時このあたりで一番目立つ建物だったと思われます。
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現在は1階にドラッグストアが入居しています。2階から上層は事務所仕様になっていますが、建てられた当時も店舗として使われていたのは1階部分だけだったと思われます。
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今は大きなガラス窓になっていますが、昔はそれぞれにアーチ型の入口扉が並んでいたのでしょうか。上部に付けられた庇が面白い表現です。
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建物側面にもアーチ窓が並びます。
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館内でまず目に付く、蛇腹式の扉が懐かしい手動式エレベータ
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階段を昇って上階へ
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建物裏側です
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残念ながら正面の上部はアーケードに覆われて見ることが出来ませんが、大正期としては斬新でモダンなデザインです。流行の発信地だった元町らしさが伺える建物です。
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by sunshine-works | 2008-03-27 02:45 | 近代建築 | Trackback(2) | Comments(0)
2008年 03月 19日
旧帝国生命保険神戸出張所(フットテクノビル)
神戸中央区の近代建築その33

栄町通りをさらに西に進みます。コーナーにアールを描くこの建物は旧帝国生命保険神戸出張所として大正10年に建てられました。
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元町駅と神戸駅の中間のこのあたりは今ではマンションが立ち並んでいますが、かっては神戸のビジネスセンターでした。昔の地図をみると神戸新聞社、中央郵便局、中央電話局等がここから神戸駅の間に建っており、このビルにはNHKの神戸支局も置かれていました。旧神戸市役所や総合商社の先駆けとなった鈴木商店の本社もこの近くにあり、まさに経済と情報の発信地として神戸の中枢となっていた地区でした。
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旧居留地のビルによく見られるルスティカ積の1階外壁。コーナーのアールが優雅なシルエットを描きます。
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玄関は東に寄せた位置に設けられたこの1箇所のみ。右上の丸窓がさりげないアクセントになっています。
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この建物は数度の改装によって変容を重ねていったのですが、現在の所有者(フットテクノ社)によって、創建時に近い姿に復元されました。老朽化した部位を補修し使い勝手を現在の基準に合わせていくと当然オリジナルの姿は損なわれて行きます。手間もコストもかかる原状への復元をあえて手がけ、建物の価値を取り戻すこのような改修は今後益々必要性を問われてくると思います。
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by sunshine-works | 2008-03-19 02:05 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 03月 07日
榮町ビル
神戸中央区の近代建築その30

今回も乙仲通りに建つ古いビルを紹介します。現在はブティックや雑貨を扱うショップが多く入居するテナントビルとなっていますが、ここもかっては小さな事業所向けの事務所ビルだったと思われます。築年度:不詳(昭和初年頃)
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凝った装飾や特徴的な意匠もなく、外観からはそれほど古い印象をうけません。戦後の現代建築に良く見られる簡素なデザインですが細部、特に館内の造作には戦前の建物の雰囲気が色濃く残っています。
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全体では一つの建物ですが幾つかの独立した区画が合わさって構成されているようにも見えます。東側玄関と西側玄関は内部で連絡しておらず機能的には別個の建物です。
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こちらは北側の入口。ガラスブロックは後年に取り付けられたと思われます。
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旧字体と書体が時代を感じさせます。
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西側区画内部は廊下の両側に小さな区画が並ぶ典型的な雑居ビルの構成となっています。
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古い建物を小さなショップやブティック用のテナントビルとして再利用する試みは都市部で多く見られます。事務所として使うには不向きでもショップとしてなら然程問題とはなず、むしろレトロな雰囲気が良い演出効果となるようです。
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by sunshine-works | 2008-03-07 00:05 | 近代建築 | Trackback(1) | Comments(0)
2008年 03月 03日
岸本産業旧本社(KISCO株式会社神戸支店)
神戸中央区の近代建築その29

乙仲通りを東へ進みます。程なく行くと個性的な建物が右側に見えてきます。この建物は神戸で創業した化学薬品卸会社、岸本産業(現在の名称はKISCO株式会社)の本社として建てられました。正確な築年は不明ですが大正末か昭和初期と思われます。
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鉄筋コンクリート3階建、独特の意匠が一際目をひく建物です。
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丸太を積み上げたログハウスの様なコーニス(蛇腹)が特徴的です。3層が階段状に積み重なっていますがそれぞれを大きくセットバックさせる大胆なデザインとなっています。
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腰周りにはルスティカ積みの石を廻らせています。
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裏側にあたる北面。厳重な鉄扉は扱品目が化学薬品である事と関係があるのでしょうか。
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先進的な建築物が数多く建てられた神戸にあってもこの建物は何ともユニークです。小規模な建物ならではの味わいと言えるかも知れません。
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by sunshine-works | 2008-03-03 02:57 | 近代建築 | Trackback | Comments(1)
2008年 02月 28日
昭和ビル
神戸中央区の近代建築その28

元町から神戸駅方面を結ぶ栄町通りと海岸通りに挟まれた乙仲通り一帯は小規模な事務所ビルが並ぶ地域です。現在は古い建物を利用したブティックやカフェが軒を連ねる商業地域に生まれ変わりましたが、かっては通関業務の仲立ちをする事業者(乙種仲立業)の街区でした。
当時の雰囲気を色濃く残す事務所ビルの典型が今回紹介するこの昭和ビルです。詳しい竣工データは不詳ですが昭和初期の築と思われます。
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間口は狭く南北方向の奥行きが長い建物です。北面と南面に二つのエントランスが設けられていますが南側と北側ではかなりデザインが異なります。上記4枚の写真が北側入口、南側はこのようになっています。
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隣接する建物に接していた側面はいたって普通の造りです。
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道路際の窓だけがアーチ窓。この部分は建物と接していなかったのかもしれません。
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タイムスリップしたかのような館内。ほとんど当時のままのようです。
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贅を凝らした大手企業の事務所ビルと異なって内装も外観もごくシンプルですが実際には当時の大半のオフィスビルがこのようなビルだったと思います。
地味で小規模ながらもそれぞれに個性的で、有名ビルとはまた異なった魅力があります。
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by sunshine-works | 2008-02-28 02:12 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 20日
旧神戸海上火災保険ビル(ニッセイ同和損害保険ビル)
神戸中央区の近代建築その26

旧居留地の中心部、明石町に建つこのオフィスビルは昭和10年、旧神戸海上火災保険会社の本社として建てられました。旧居留地のオフィスビルの中で竣工時から入居者が変わらず(会社名はその後数回変わっています)同一の用途で使われている数少ないビルです。設計:長谷部竹腰建築事務所
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現在はニッセイ同和損保の社名となっていますが、元々は神戸港で海上保険を扱う神戸海上火災保険会社の社屋でした。港湾都市の神戸には海上保険会社が数多くありましたが、戦前に建てられ現存している保険会社の建物はこの建物だけとなりました。
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階を貫いて続く大きなアーチ型、軒に付けられたコーニスが特徴となっていますが全体的には装飾要素は控えめです。
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それほど大きな建物ではありませんがアーチによって縦方向に伸びやかさが強調されます。大きなアーチを使うデザイン技法は住友系の建築によく見られる特徴ですが、この建物が住友の工務部から独立した長谷部竹腰建築事務所の作品である事をよく表しています。
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大きなアーチが描く曲線と窓を繋ぐ付柱の繰り返しパターンが美しいリズムとなっています。派手さはありませんが端正な印象です。
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さりげない部分ですが味わいのある細部。
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端に設けられた小ぶりな玄関
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神戸海上保険会社は戦時中に4つの損保会社の合併となる同和火災として統合され、その後ニッセイ同和損保へと変遷を遂げます。経済の一極集中によって神戸で設立された会社のほとんどは本社を東京へ移したり合併して東京資本の企業の支社に変わってしまいます。多くの会社が本社を置いたこのあたりも地元資本の会社は数える程となってしまいました。会社名は変わっても今なお現役で使われているこの建物はかってこの街で生まれた会社であることを偲ぶ貴重な存在でもあります。
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by sunshine-works | 2008-02-20 02:43 | 近代建築 | Trackback(1) | Comments(2)
2008年 02月 12日
旧神戸証券取引所(神戸朝日ビル)
神戸中央区の近代建築その24

旧居留地の北端、三宮に程近い浪花町の一角に大きく弧を描く印象的な建物が建っています。この建物は昭和9年に渡辺節の設計で建てられた旧神戸証券取引所の外観部分を再生利用した物です。(平成6年改修)
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神戸証券取引所は東京、大阪に次ぐ全国3番目の証券市場として明治16年に創設されています。地域的には大阪に近接している神戸ですが、昭和42年に廃止されるまで独自に証券取引所が置かれていました。国際貿易港として発展を遂げた神戸とは言え、証券市場は東証や大証に比べて小規模な物でした。しかし、この取引所は東京や大阪の証券取引所を凌ぐ程大きくかつ豪華な建物に思えます。竣工した当時の神戸経済界には相応の勢いや先行き期待があったのかも知れません。
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昭和9年に建てられたこの建物ですが僅か10年程で取引所としての使命を終えてしまいます。昭和20年の終戦と同時に進駐軍に接収され、昭和28年に返還された後は映画館として使用される事となります(証券取引所は近くの別の建物で再開されていました)。その後再開発によって高層オフィスビルに建替えられる事となったのですが、元の建物を低層部として残し、内側に高層棟を組み込む形で保存される事となりました。海岸ビルの再建と同じような手法ですが年代的にはこちらが先になります。
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低層部として保存された旧建物は扇型に広がる前面部分がL型に組み合った基部に繋がった形で構成されています。現在の前面部分は角柱がオブジェの様に並んでいますが、かってはこの柱の間に外壁が廻らされていました。後方部分は当時の建物をそのまま活かして商業棟として使用されています。
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側面に設けられている玄関
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玄関部分の内側
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海岸ビルに比べると新旧建物の取り合わせに違和感が少なく自然な感じがします。低層部の面積が大きくデザインも特徴的な為に高層棟とのコントラストが際立って別個の建物の様に見えるのが一因でしょうか。高層棟がかなりセットバックしているので下から見上げた時にも然程気になりません。
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旧建物を残して建替える場合はオリジナルの形を残して再生する手法が常道なのでしょうが、この建物は思い切って印象的な部分(列柱)だけを利用した例です。建物保存の趣旨からは全体保存が望ましいとは思いますが、特徴的な部分を抜き出した事でより印象が強く出て面白い効果となっています。
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by sunshine-works | 2008-02-12 21:18 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)