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2011年 09月 27日
三滝ダム
鳥取県智頭町の近代建築その6

芦津発電所からさらに渓谷をひたすら進むと、険しい山道を越えた辺りに静かな湖面の景色が現れます。
昭和12年に完成したこの三滝ダムは、戦前に8基が築かれたバットレスダムの最後の竣工例となりました。
*詳細はこちらのサイト
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部材の節約によるコスト削減効果や重量軽減による軟弱地盤への適応力等のメリットを有しながら、結局は8基の竣工のみで終わったバットレスダムの最後の竣工例として名を残すのがこの三滝ダムです。昭和12年、このダムに併せて設置された芦津発電所へ発電用水を送る為に設置されています。
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下流側からの眺め
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天端上の管理通路。特に柵も無く反対側へ渡る事が出来ました。
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革新的なアイデアと思われたバットレスダムでしたが、冬季の凍結対策や施工の複雑さ故に施工費が増大する等、逆にコストが足枷となって短期の流行で終わってしまいました。
とは言え、この三滝ダムを含めた8例のバットレスダムの施工で得た経験は、その後の日本の土木技術に活かされていったものと思われます。
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by sunshine-works | 2011-09-27 23:53 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2011年 09月 23日
中国電力芦津発電所
鳥取県智頭町の近代建築その5

大内発電所から北股川を上流に遡って進みます。三滝ダムまでを結ぶ芦津渓谷に沿った遊歩道の途中に小さな発電所が現れます。上流の三滝ダムから導水するこの芦津発電所は中国電力の前身の一つ因幡水力電気によって設置されました。昭和5年築。
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山道をひたすら進んだ先に金網で囲まれたコンクリート建物が見えてきます。水圧鉄管が1本引き込まれた小さな建屋ですが、最大出力は2,600kwとこの時代に中国山地に設置された水力発電所の中では出力の大きな発電所です。
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山奥に置かれ、普段は人目に付く事のない施設故に装飾要素は省かれ、コンクリート躯体に鉄板の屋根を葺いただけの簡素な建物です。妻面に設けられた円形の換気窓が唯一のアクセントとなっています。
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水源の三滝ダムから導かれた水が斜面を駆け下ります。
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千代川の水力発電所は戦争を挟んで戦後も開発が続けられ現在16箇所の発電所が稼動しています。この芦津発電所は戦後に続く中国電力の水路式発電所の基本を築いた発電所の一つとして貴重な産業遺産です。
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by sunshine-works | 2011-09-23 18:48 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2011年 09月 19日
中国電力大内発電所
鳥取県智頭町の近代建築その4

山形小学校の南、川を挟んだ向かい側の山裾にコンクリート造の大きな建物が建っています。
大正12年に山陽水力電気河合発電所として開設されたこの水力発電所は今も現役施設として使われています。
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岡山側の中国山地は明治後期~大正にかけて水力発電所が数多く建てられましたが、鳥取側でも西部の日野川と東部の千代川水系で開発が行われます。千代川水系初の本格的な水力発電所として大正後期に設置されたのがこの河合発電所と上流の大呂発電所でした。
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岡山側に比べて人口規模の小さな鳥取の山間部に電灯需要は僅かなものしかなく、この水系に計画された発電所はその発電量の殆どを播磨の工場地帯へ送る為のものでした。実際この発電所が完成した時の山陽水力電気社長は川西財閥の川西清兵衛が就いており、主な需要先は川西財閥系列の姫路山陽電鉄(山陽電鉄の前身)や日本毛織が占めていました。

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総発電量は1,450KWと今日の感覚からすれば小さなものですが、この時代の水路式発電所としては平均的な規模のもの、大きな河川が少ない中国山地の水力発電所の能力としては1,000KW級は大きな部類に入ります。
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背後の山腹から下りてくる太い水圧鉄管。斜面に沿って辿ってみます。
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取水口から導かれた水はここで鉄管に注がれて斜面を下りていきます。
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明治以降の日本の産業発展の多くは、遠く離れた場所に置かれたこれらの施設が支えていました。
この大内発電所も阪神・播磨の近代工業を支えた産業遺産として貴重な現存資料となっています。
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by sunshine-works | 2011-09-19 23:35 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2011年 09月 15日
智頭町立山形小学校
鳥取県智頭町の近代建築その3

智頭宿から街道を南へ進んで程なく、古い家並みが残る郷原集落の傍らに古い木造校舎が建っています。昭和17年に山形第一国民学校の校舎として建てられたこの建物は平成24年春に予定される閉校までの70年に亘って小学校校舎として使用されています。
同校のホームページ
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智頭町立山形小学校は明治8年に開校した長い歴史を持つ小学校です。昭和17年に新築移転した際に建てられた現在の校舎は木造2階建て・鉄板屋根葺で、山村の小学校としては非常に規模が大きく桁行が80メートルに及ぶ長大な建物となっています。
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山裾に建つ校舎の遠景。遠くからも大きな校舎がよく目立ちます。
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道路に沿った西側の正面。玄関はほぼ中央に置かれ、長い庇が突き出しています。
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玄関部分のクローズアップ。両脇にはタイルが貼られています。
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連続して延々と並ぶ窓。横幅に沿って切れ目無く続く窓は水平方向のラインを強調し、モダンな印象を与えています。
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南側の側面。屋根は切妻ではなく折屋根とした凝った造りです。
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戦中に建てられた小学校ですが、簡素な中にも意匠が凝らされた美しい校舎です。
町立小学校の統合によって廃校となってしまうのは何とも残念ですが、有効な再活用を図って校舎の存続を願いたいものです。
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by sunshine-works | 2011-09-15 13:55 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(2)
2011年 09月 11日
智頭宿の近代建築
鳥取県智頭町の近代建築その2

鳥取随一の宿場町だった智頭は明治以降も地域の経済・行政の中心として栄え、多くの近代建築が建てられていきました。今回は旧宿場町に残る三つの洋風建築を紹介します。

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旧智頭町役場(下町公民館)

因幡街道智頭宿の中心部に下見板貼り木造2階建ての洋風建築が建っています。
大正3年、旧智頭村が町制に移行した際に町役場として建てられました。
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下見板貼りの外壁に和風の桟瓦葺、装飾表現が殆ど無く、唯一中央入口の庇や三角ペディメントに施された意匠に庁舎らしさが窺えます。窓枠はサッシに変えられている以外は原型を良く留め、大正期の地方庁舎の現存例として貴重なものです。
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智頭町役場だったこの建物は当初別の場所に建てられていましたが、昭和3年に当地に移築されたそうです。昭和19年まで役場庁舎として使われ、その後は電報電話局を経て公民館となりました。
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中町公民館

旧智頭宿には現在公民館として使われている洋風建築物がもう一棟現存します。当初医院として建てられたこの建物の築年は不詳ですが、おそらく大正初期のものと思われます。
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木造下見板貼り、桟瓦葺。中央に切妻屋根の庇を設け、左右に縦長の上げ下げ窓を配します。旧智頭町役場と同時代の建物と思われ、共に良く似た造りとなっています。
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智頭消防団本町分団屯所

街道に面して火の見櫓を乗せた特長のある建物が建っています。智頭町の消防屯所として昭和16年に建てられ、今尚現役の施設として使われています。
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木造2階建て、下見板貼り。正面上部に切妻風の破風を立ち上げます。本来飾り気の無い建物ですが、屋根上の火の見櫓や建物正面中央に取り付けられた階段がこの建物を特徴付けています。
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古い町並みが続く旧智頭宿の中心部に建つ消防屯所。周囲の伝統家屋に違和感無く調和しています。
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by sunshine-works | 2011-09-11 17:33 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2011年 09月 07日
旧塩谷出店洋館
鳥取県智頭町の近代建築その1

因幡と畿内を結ぶ智頭往来の宿場町として栄えた智頭の町。旧宿場町の中心部だった一帯には今でも往時の面影を残す古い町並みが残されています。この町並みの中程にある大きな町家の庭園に小さな洋館が建てられています。智頭の商家として栄えた石谷家の分家が構えた邸宅の一部として昭和5年に建てられました。
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木造2階建て、下見板貼り、切妻屋根の小さな建物。2階に小さな部屋が一間、1階も一間に脇室があるだけの簡素な造りです。おそらくは離れのような用途で使われていたと思われます。
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裏側から眺めた図。この角度から見ると尚更小さな建物に感じられます。
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手前が主屋。この位置から見てもやはり小さな建物です。
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一時期はキリスト教の施設として使われていた時代もあったそうです。現在は智頭出身の映画監督西河克己氏の記念館として公開されています。
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歴史的町並みの中に建つ小さな洋館ですが、昭和初期の洋風建築らしいモダンで均整の取れた建物です。周囲の伝統建築や日本庭園と違和感なく調和し、美しい佇まいを成しています。
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by sunshine-works | 2011-09-07 01:08 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)
2011年 09月 03日
鳥取の近代建築
兵庫県から西へ進めてきた近代建築巡りの旅、今月から新たな探訪地として鳥取県を加えていきます。
鳥取県は人口規模で全国最小、面積も小さな県ですが、山深い中国山地から北の日本海沿岸部までの様々な風景の中に近代土木遺産や古い鉄道施設が今尚残り、各市町には数多くの近代建築が当時の姿を留めます。
美しい自然の中に点在する鳥取の近代建築探訪、次回県南部の智頭からスタートします。よろしくお付き合いください。


旧雲陽実業銀行根雨支店
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塩屋出店洋館
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米子専門大店ビル
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旧岩井尋常小学校
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仁風閣
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水道施設、ダム、発電所、橋梁。各地に残る近代土木遺産の数々。

旧倉吉町水源地ポンプ室
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三滝ダム堰堤
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旧江尾発電所
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登山橋
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開設時より使い続けられる駅舎や橋梁。鉄道遺産の充実度は岡山に引けを取りません。

山陰本線御来屋駅
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若桜鉄道因幡船岡駅
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山陰本線陸上橋梁
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by sunshine-works | 2011-09-03 12:30 | 近代建築 鳥取県 | Trackback | Comments(0)