<   2008年 05月 ( 7 )   > この月の画像一覧

2008年 05月 31日
旧兵庫県信用組合連合会(神戸韓国領事館)
神戸中央区の近代建築その50

パールストリートから1本南側、中山手通りに面して建つこの建物は兵庫県信用組合連合会のビルとして昭和4年に建てられました。設計:置塩章。
f0116479_22273795.jpg

兵庫県営繕課長として多くの公共建築を手掛けた置塩章の独立間もない頃の作品です。比較的小さな建物ですが要所要所には様々な装飾表現が施されています。
f0116479_22452320.jpg

f0116479_22443563.jpg

f0116479_22441459.jpg

正面側は全面にスクラッチタイルが貼られています。タイルは均一で滑らかな貼り方ではなく、煉瓦壁のように凸凹した仕上げになっています。タイルではなく厚みのあるスクラッチ模様の石材かも知れません。
f0116479_2253672.jpg

f0116479_22534752.jpg

f0116479_22543181.jpg

f0116479_22545270.jpg

面格子も良い雰囲気です。
f0116479_2321633.jpg

f0116479_2335398.jpg

窓間は付柱で飾られ、軒には細密な蛇腹が廻らされています。
f0116479_23112981.jpg

f0116479_2365536.jpg

シンメトリーなデザインの中央に設けられた玄関。
f0116479_2302100.jpg

f0116479_2259418.jpg

f0116479_22593570.jpg

f0116479_2305762.jpg

f0116479_2304335.jpg

f0116479_231206.jpg

神戸を拠点に活躍した置塩章ですが、神戸市内に現存する作品はあまり多くはありません。(数で言えば地方の公共建築の方が多いかもしれません)
氏の代表作、旧国立生糸検査所建物の存続が微妙な立場なだけに、良好な状態で残されているこの建物の存在意義は高いと思われます。
f0116479_2313386.jpg


by sunshine-works | 2008-05-31 23:54 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 27日
神戸回教寺院(ムスリム・モスク)
神戸中央区の近代建築その49

トアロードと交わるパールストリートを東へ進み北野を目指します。右手に見えてくるイスラム風の建築物は昭和10年に建てられた現存する日本最古の回教寺院です。設計J.J.スワガー
f0116479_21502756.jpg

設計者のスワガーは横浜の山手教会の設計者として知られています。他にも多くのカトリック系の宗教施設を手掛けているのですが、その中でこのイスラム建築は異彩を放つ存在です。
f0116479_21563538.jpg

中央に大きなドームが置かれ、周囲に4つの尖塔が並びます。
南アジア系のイスラム教徒が多かった事もあってか、どこかインド風のデザインを感じます。
f0116479_2154518.jpg

f0116479_21534622.jpg

f0116479_2231419.jpg

国際貿易港として発展した神戸には南アジアやトルコ出身の貿易商も数多く居住していました。これらの人々によって日本で最初の本格的な礼拝施設として建てられたのがこのモスクです。信教の自由が認められた明治に始まる日本のイスラム教はイスラム圏の外国人コミューンが存在した神戸がその中心となりました。
f0116479_2202013.jpg

f0116479_21525530.jpg

普段なじみの無いイスラム寺院ですが、宗教施設ならではの厳かさな雰囲気が漂います。
f0116479_2262562.jpg

f0116479_2321630.jpg

f0116479_238498.jpg

f0116479_2392484.jpg

f0116479_2384915.jpg

f0116479_23135214.jpg

f0116479_2315493.jpg

*内部の見学も出来るそうです。gipsypapaさんのサイトに詳しい写真があります。
f0116479_23543047.jpg

各派のキリスト教会が市内各地に点在する神戸ですが、神戸の国際性を象徴するのがこのイスラム寺院をはじめユダヤ教やジャイナ教、関帝廟など種々様々な宗教施設です。世界各国の人々によって支えられてきた国際都市神戸ならではの光景でしょう。
f0116479_2324286.jpg


by sunshine-works | 2008-05-27 23:37 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 23日
旧ビショップ邸(東天閣)
神戸中央区の近代建築その48

トアロードをさらに北へ進みます。左手に見えて来るこの建物は北野地区で最も古い洋館と言われています。明治27年、ドイツ人ビショップ氏の邸宅として建てられました。
f0116479_2394564.jpg

開港当初、居留地に住んでいた外国人貿易商も、明治中期には周辺地区に居を移す様になります。特に高台で港が見下ろせる北野の丘陵地は多くの外国人が自邸を構え、いわゆる異人館地区として発展していきます。この建物が面しているトアロードは港と北野を結ぶ神戸の先進地区として栄え、流行・文化の発信地でもありました。
f0116479_2154497.jpg

f0116479_21554016.jpg

f0116479_23105938.jpg

その後立てられた多くの異人館と同じくベランダを配したコロニアル様式、下見板貼、寄棟造りです。当初開放式だった2階ベランダにガラスが嵌められているのも他の異人館と共通しています。
f0116479_21571059.jpg

f0116479_21563532.jpg

f0116479_21573481.jpg

f0116479_22312525.jpg

f0116479_2158575.jpg

この建物は昭和20年に高級中華料理の店舗に改装されました。現在は北野地区の多くの洋館が商業施設に転用されていますが、この建物は転用事例として先駆的な存在ではないでしょうか。
f0116479_2201985.jpg

f0116479_2215131.jpg

f0116479_2221291.jpg

各窓下にはこのようなレリーフ状の飾彫が配されています。
f0116479_225924.jpg

f0116479_2253985.jpg

もちろん窓には鎧戸が付けられています。
f0116479_2210128.jpg

f0116479_2210514.jpg

北面は少し異なった様相です。
f0116479_22133822.jpg

f0116479_22143797.jpg

f0116479_22151170.jpg

f0116479_22155773.jpg

f0116479_22162678.jpg

神戸でも高級中華料理店として良く知られた店です。トアロードに面し、比較的大きな構えの邸宅だったこの建物は飲食店に転用するには最適の条件だった様です。
f0116479_22395620.jpg


by sunshine-works | 2008-05-23 23:24 | 近代建築 | Trackback | Comments(8)
2008年 05月 19日
旧北野小学校(北野・工房のまち)
神戸中央区の近代建築その47

旧居留地と北野を結ぶトアロードの坂の中腹に廃校となった小学校を利用した観光施設が建っています。このモダンな校舎は昭和6年に神戸市営繕課の設計で建てられました。
f0116479_220559.jpg

市の中心部と洋館が立ち並ぶ山手の住宅街を結ぶトアロード沿いに位置するこの小学校は神戸の小学校の中でも都会の真中に建てられた代表的な小学校です。昭和初期には神戸市内に鉄筋コンクリートの校舎が続々と建てられて行きますが、この校舎は当時建てられた中でも随一のモダンなデザインが各所に表現されています。
f0116479_22105063.jpg

f0116479_228579.jpg

f0116479_2211729.jpg

f0116479_22132971.jpg

f0116479_22151081.jpg

f0116479_22135180.jpg

f0116479_2228739.jpg

都心に立地する他の多くの小学校と同様に、この北野小学校も生徒数の減少によって統合され廃校となってしまいます。残された校舎の再利用を模索した神戸市が出した結論は地元神戸の産品を紹介する商業・観光拠点とする事でした。かっての教室は物販施設に改装され多くの観光客が訪れる集客スポットとなりました。
f0116479_22161171.jpg

f0116479_22162741.jpg

f0116479_22164921.jpg

かって校庭だった裏側は観光バスの駐車場となっています。
f0116479_22294846.jpg

f0116479_2230549.jpg

f0116479_22562760.jpg

館内にも当時そのままの素晴らしい意匠が残っています。
f0116479_22202677.jpg

f0116479_22205412.jpg

f0116479_22211936.jpg

f0116479_22214556.jpg

小学校にしてステンドグラスが設けられています。
f0116479_22231144.jpg

この照明器具は後年の物でしょうか。
f0116479_2239899.jpg

f0116479_22244863.jpg

玄関周りをもう少し
f0116479_22254547.jpg

f0116479_2226335.jpg

f0116479_22264277.jpg

f0116479_2227166.jpg

f0116479_22581456.jpg

廃校となった校舎の再生方法として、条件に恵まれればこのように観光施設に転用が出来るのですが、むしろこれは稀有な例でしょう。観光地でも商業地区でもない、ごく普通の街中に残された廃校の多くは再開発の名の下で思い出が詰まった校舎の解体を余儀なくされているのが現実です。
f0116479_22303320.jpg


by sunshine-works | 2008-05-19 23:03 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 15日
旧国立神戸移民収容所(神戸移住センター)
神戸中央区の近代建築その46

諏訪山の麓に沿って山本通りを東へ向かいます。元町へ繋がる鯉川筋が交わるあたりに建つこの建物は、昭和3年に南米移住者の教習施設として建てられました。設計:兵庫県営繕課
f0116479_20471376.jpg

今年は最初のブラジル移民船笠戸丸が神戸港を出航してちょうど100年にあたります。神戸港は全体の4割にあたる南米移民を送り出した最大の拠点でした。この建物は移住者が渡航前の研修や準備を行う施設として設置されたものです。内部には宿泊施設の他に教習室、診療所、集会所等が設けられていました。
f0116479_21105396.jpg

f0116479_21113326.jpg

この建物は戦時中の中断期間を挟んで昭和46年まで使用され、その後は看護学校の校舎、看護学校が移転した後はアートスペースとして活用されました。
f0116479_21474061.jpg

施設の性質から華美な装飾はありません。玄関周りに控えめな装飾表現が見られますが全体的にはシンプルなモダン建築です。
f0116479_21185050.jpg

f0116479_21194166.jpg

f0116479_21202114.jpg

f0116479_21205155.jpg

f0116479_21211793.jpg

f0116479_21215150.jpg

f0116479_21245926.jpg

f0116479_2341357.jpg

(一時期使用していた看護婦学校の看板が残っていました)
f0116479_21222039.jpg

低い天井に剥き出しのダクトが連なる館内廊下。長い船旅に慣れる為にあえて船内に似せた造りにしているそうです。
f0116479_21295690.jpg

f0116479_21304455.jpg

f0116479_2132815.jpg

f0116479_21324173.jpg

f0116479_21331548.jpg

f0116479_21333321.jpg

f0116479_2134085.jpg

f0116479_21343477.jpg

f0116479_2135617.jpg

現在使われていない裏側。かなり朽ちた状態です。
f0116479_21381643.jpg

f0116479_21384940.jpg

f0116479_21391836.jpg

f0116479_21393454.jpg

本館が手狭になった為、その後裏手に建てられた別館。現在は草に埋もれた状態です。
f0116479_21415117.jpg

f0116479_21421160.jpg

この建物を管理する神戸市はこの建物をブラジル移民記念館として再生する事を決定し、現在改修工事を行っています。(2009年春完成予定)
深い歴史が刻まれたこの建物も一時は解体撤去の話もあったそうですが、記念施設として保存される事となりました。このような活用方法は建物にとって最も望ましい形ではないでしょうか。
f0116479_21132399.jpg


by sunshine-works | 2008-05-15 23:00 | 近代建築 | Trackback | Comments(1)
2008年 05月 11日
神戸山手女子中学・高校本館(旧神戸山手高等女学校)
神戸中央区の近代建築その45

相楽園を抜けて北方向へ、坂を上っていくと斜面に沿って閑静な住宅街が続きます。この諏訪山地区の奥に80年以上の歴史を持つ神戸山手女子中学・高校が建っています。
神戸山手高等女学校時代の昭和11年に建てられた校舎が本館として現在も使用されています。*写真右手が本館
f0116479_10533483.jpg

明治以降、阪神間の山裾には多くの学校が建てられましたが、この学校も私立女子校として大正13年に創設され大正15年に当地に最初の校舎が竣工します。男女別学が一般的だった当時、神戸市内に女学校が少なかった事を憂いた地元の有志によって設立されたそうです。
f0116479_10513195.jpg

昭和初期の学校建築に多く見られるデザインです。アーチを模った枠型に縦長窓を整然と配列し、垂直柱に段を付けてアクセントとしています。
f0116479_1153042.jpg

f0116479_11513774.jpg

f0116479_11573653.jpg

アールデコ風の玄関部分。
f0116479_1156159.jpg

f0116479_1157535.jpg

本館の両側には戦後に増築された棟が繋がっています。
こちらは南館
f0116479_1292756.jpg

こちらが北館
f0116479_12105968.jpg

北館の前から見た本館
f0116479_12122737.jpg

神戸市内に現存する戦前の鉄筋コンクリート校舎はこの他にも幾つかありますが、老朽化により徐々にその数は少なくなってきています。とりわけ私学の場合は設備環境が生徒募集の重要なポイントとなるので、ある面仕方の無い事かも知れません。大学と異なって限られた校地の中では旧館を残して新館を建てる事にも限界があります。
とは言え、由緒ある校舎を壊してしまう事は残念な事です。部分保存であっても名残を残して欲しいものです。
f0116479_12454836.jpg


by sunshine-works | 2008-05-11 12:59 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 07日
旧ハッサム邸
神戸中央区の近代建築その44

相楽園の旧小寺家厩舎の隣には北野2丁目から移築された洋館が展示されています。この建物はインド系英国人貿易商ハッサム氏の自邸として明治35年に建てられました。当時の神戸で多くの洋館を手掛けたA.ハンセルの設計と言われています。昭和36年、重要文化財指定。
f0116479_0193310.jpg

典型的な英国コロニアルスタイルの洋館です。2階ベランダはガラスで仕切られていない開放式になっています。
f0116479_0203021.jpg

f0116479_0214049.jpg

この建物は最後の所有者であった神戸回教寺院から昭和36年に神戸市に寄贈されています。50年近く神戸市の保守管理を受けている事と重要文化財に指定されている事で余分な手が加えられる事無くほぼ原形が保たれています。(阪神淡路大震災で大きな被害を受けましたが修復されています)
f0116479_0221452.jpg

f0116479_0222892.jpg

前庭には、阪神淡路大震災で屋根を突き破った煙突が展示されています。
f0116479_030193.jpg

f0116479_0265742.jpg

この建物を建てたハッサム氏についての詳細は不明ですが、当時の神戸では欧米人以外にもインド系やイスラム系の貿易商が数多く活躍していたようです。横浜に比べてアジアとの貿易比率が高かった神戸港の特性が伺えます。
f0116479_0282582.jpg

f0116479_031747.jpg

コロニアルスタイルに特徴的な美しい鎧戸。
f0116479_0335095.jpg

f0116479_0344271.jpg

f0116479_0345860.jpg

f0116479_0354992.jpg

これもお馴染みのバルコニー。天井の仕上げは中央と両側で異なっています。
f0116479_036499.jpg

建物中央に設けられたアーチ型の入口
f0116479_0414459.jpg

f0116479_0421787.jpg

裏側の様子。付属建物(小屋)も重要文化財です。
f0116479_047427.jpg

f0116479_0473023.jpg

北野の異人館街から移築された他の建物(ハンター邸ヘイガー邸)と同様、手厚く管理されて原形がよく保たれています。放置されたり、過度に改修されてしまった北野地区の幾つかの洋館を見るにつけ、このような形での保存がもっと推進されるべきと実感させられます。
f0116479_0483274.jpg


by sunshine-works | 2008-05-07 01:32 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)