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2007年 06月 29日
旧山邑家住宅(ヨドコウ迎賓館)
芦屋の近代建築その5

阪急線を越えて坂道を上っていくと大きな屋敷が並ぶ芦屋の山の手エリアになります。街並みを見下ろす斜面の頂上に建つこの建物はフランク・ロイド・ライトが日本に残した建築物の中で唯一完全な形で現存する邸宅です。*1974年、重要文化財指定
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清酒「櫻正宗」の酒造元である山邑家の別邸として大正13年に建てられました。
F・Lライトの基本設計を基に弟子の遠藤新、南信が引継いで完成させました。(着工時にはライトはすでに帰国していました)
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大谷石を主材として全体を複雑な彫刻やレリーフで飾る外観は甲子園ホテル(設計:遠藤新)や帝国ホテルに共通するこの時代のライトに特徴的な様式です。
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屋上のテラスの様子です。遥か大阪湾を望む街並や六甲の山並みが広がります。
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整然と並ぶ石の門のような物は明かり取窓の飾り枠です。
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建物北側及び裏側部分です。
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山邑家がこの邸宅を使用していたのは大正13年の竣工から昭和10年までのわずか10年あまりでした。その後は進駐軍の接収を経て昭和22年に淀川製鋼所の所有となりました。
大規模な修復工事を実施したり、阪神大震災による被害を補修するなど80年以上前の建築物とは思えない良好な状態が保たれています。
優れた建築物を所有者の責務として大切に維持していくこの様な姿勢は大手企業ならではの良識を感じさせます。

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by sunshine-works | 2007-06-29 23:43 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 24日
芦屋仏教会館
芦屋の近代建築その4

芦屋川を遡って北に進みます。JR線と交差する手前に寺院の様な、教会の様な、不思議な風情の3階立て建物が建っています。昭和2年、初代丸紅社長伊藤長兵衛が寄贈した宗教施設です。設計・片岡安
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頂部を尖らせた窓上部のアーチ要石、インド風の正面ペディメント、蓮を象ったステンドグラス等、東洋風デザインを随所に盛り込んだ独特の様式となっています。
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ステンドグラスは蓮をデザインしたもの。
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戦後の一時期は市立図書館が置かれていたこともありました。その後図書館は打出町の旧逸身銀行の建物に移転しました。
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この地(精道村)に居を構えた伊藤長兵衛は、自身の信仰する浄土真宗の布教施設として仏教会館を建立しました。当時は企業家が公共的な施設・建物を寄贈する例は珍しくなかった様です。(これらは多くが個性的なデザインを凝らした建築となっているのが特徴的です。)
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by sunshine-works | 2007-06-24 03:40 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 20日
芦屋警察署
芦屋の近代建築その3

阪神芦屋駅の北側、公共機関や市の中核施設が集まる一角に一際目を引くロマネスク様式の建物が建っています。この芦屋警察署は昭和2年に建てられた旧建物の玄関と正面ファザードを取り込む形で近年立替られたものです。旧建物と新築部分が違和感なく繋がれ部分保存として非常に上手く処理された事例となっています。
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設計は兵庫県営繕課。この時期は置塩章が営繕課長を勤めていた頃ですので設計には氏の影響が表れていると思われます。(ちなみに以前紹介した尼崎警察署は大正15年、置塩章が手がけたものです。)
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石造のアーチの奥に正面入口が設けられています。
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玄関ホール内のステンドグラス
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エントランス入口上部には夜警を象徴するミミズクが飾られています。
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門灯
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地下室の明かり取窓。
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こちらの窓には警察署らしい厳重な面格子が取付けられています
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旧建物の一部を取り込んで保存する例は他にも多く見られます。(この写真で見えるコーナー部分が保存部分、奥が新築部分です)
耐震性や強度面で現在の基準に合わない建物もこの様な形で再生されれば生き永らえることが可能でしょう。効率やコスト面では新造したほうが有利なのですが、歴史的価値のある建物を可能な範囲で残す事とした兵庫県の賢明な判断を他の自治体や企業も見習ってほしいものです。
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by sunshine-works | 2007-06-20 23:00 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 16日
旧芦屋郵便局電話事務室

芦屋の近代建築その2

阪神芦屋駅とJR芦屋駅の間、阪神線とJR線に挟まれた芦屋市の中心市街の一角に建つこのスクラッチタイル貼の建物はかって逓信省時代に電話交換所として造られた施設です。
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昭和4年築 設計は逓信省技官の上浪朗
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1階と2階でタイルの色調を変えています。
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正面側には半円形のアーチ窓が続きます。
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内側から見たアーチ窓
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全面に貼られたスクラッチタイルが美しい
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垂直方向に貼られたレリーフタイルがアクセントとなっています。
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タイルは3数種の模様の繰り返しです。何をシンボライズしているのでしょうか。
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頂部にはライオンが飾られています
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正面入口周り
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アーチ窓の内側はこの様な内廊下になっています。
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エントランスホール壁面の飾り
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逓信省、電信電話公社、NTTの各時代を電話局として長く使われていましたが現在は民間のウエディングハウスになっています。最近はこの様に古い銀行や庁舎を結婚式場に転用する例が増えています。クラッシックな雰囲気を活かす良い利用方法だと思います。
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by sunshine-works | 2007-06-16 23:05 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 13日
旧逸身銀行(芦屋市立図書館打出分室)
芦屋の近代建築その1

阪神電鉄香枦園から西へ1駅、市境を越えると芦屋市打出駅です。駅北側の住宅地の一角に石造の大きな建物が見えてきます。現在は図書館として使われているこの建物は大阪にあった銀行建物を当地に移築したものです。
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ブロック状の石を積み上げて造られています。石垣や西洋の城郭の様な外観です。
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昭和5年に大阪から移築されたこの建物ですが築年度や設計・施工は不詳です。(明治後年から大正期の築と言われています。)
当初は個人宅の別棟として使われていましたが、戦後に芦屋市立図書館になりました。
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建物に比べると小さな窓です。
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玄関の意匠はなぜか東洋風。
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この建物に置かれている市立図書館分室は一時は財政難から廃止される案があったそうですが反対運動で見送りとなりました。居住するには少々使い勝手が悪そうですが図書館の用途には最適な建物ではないでしょうか。
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by sunshine-works | 2007-06-13 23:10 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 10日
西宮回生病院玄関棟

西宮の近代建築その27

海岸線を更に西へ、芦屋市との市境が香枦園浜です。この香枦園にある西宮回生病院は歴史のある病院ですが昭和60年に建て替えられました。建て替えに際して玄関部分が保存され現在も正面入口として使われています。
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西宮回生病院は陸軍軍医総監を勤めた菊池常三郎博士によって明治40年に設立されました。この玄関棟は昭和初年の築です。
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アーチに囲まれた玄関扉
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車寄せの屋根は阪神大震災後に改修されています。以前は木造のドーム屋根でした。柱の礎石部分が残っています。
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玄関を中心として左右に円弧状の両翼が繋がっています。

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建て替え時に部分保存された事例です。全体保存が叶わない場合この様にシンボリックな部分のみが残されます。この玄関部分はもともと本館から独立した建物だった為残し易かったのでしょう。たとえ部分的であっても歴史的価値のある建物の名残を留めて置く事は有意義な事だと思います。
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尼崎、西宮と巡ってきた近代建築watch、次回からは芦屋市へ向かいます。

by sunshine-works | 2007-06-10 03:53 | 近代建築 | Trackback | Comments(2)
2007年 06月 06日
辰馬本家酒造白鹿館
西宮の近代建築その26

海岸線から西宮マリーナ沿いに北へ少し行くと清酒白鹿の工場が見えてきます。
昭和5年、辰馬本家酒造の最新鋭の瓶詰工場として建てられました。
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設計石川純一郎、施工竹中工務店 
以前掲載した旧辰馬喜十郎邸はこの白鹿の醸造元、南辰馬家の初代当主の邸宅です。
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町の1ブロックを占める敷地に建つ大きな工場です。瓶詰ラインは通年操業ではないので撮影時はゲートが閉じられ中を窺う事はできませんでしたが外周部分にも素晴らしい造形が随所に見てとれます。
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正面ゲート。
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ゲート横の窓。
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入口脇の門灯。下に「酒類製造場」の看板が掲げられています。
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ゲートの上部には辰馬家の紋。下部の鉤状の金具は旗を留める物でしょうか。
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正門の脇にも数個の扉があります。
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敷地を囲む塀越の景色
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*敷地内の様子は神戸新聞のコラムに掲載写真があります。
http://www.kobe-np.jp/rensai/200504ishizue/03.html

工場北側。敷地に沿って端まで壁面が伸びています。
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辰馬酒造旧本社事務所

白鹿館と道一つ隔てた敷地に保存されている旧本社建物。かなり昔の施設の様ですがほんの数年前まで現役で使用されていたとの事です。
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外は和風、内部は洋風の折衷建築になっています。
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by sunshine-works | 2007-06-06 23:47 | 近代建築 | Trackback | Comments(2)