カテゴリ:近代建築 香川県( 38 )

2012年 12月 26日
香川の近代建築補遺3
香川の近代建築補遺

香川の近代建築補遺、最終回の今回は公共施設その他を紹介します。
前回は地方の拠点都市に残る近代建築として医院建築や店舗建築を紹介しましたが、小さな町や村に残る近代建築の代表例として上げられるのが今回紹介する郵便局舎や役場建物です。
現存するこれらはどれも当初の用途の役目を終えていますが、地域に於ける洋風建築の先駆として長く親しまれたものばかりです。

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旧五名郵便局


県南東部の山あいにある小さな集落の旧郵便局です。現在は地域振興の飲食施設として使われています。
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旧三本松郵便局


三本松に残る郵便局舎。小さな建物ですが、コーナーに設けた入口やパラペットの装飾、壁面のレリーフ、入口上部の時計等々。細部に拘った造りです。
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旧白鳥郵便局


これも良く似た意匠です。
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旧役場?


こちらも讃岐白鳥の建物。古い役場かとも思われますが、詳細は不明です。
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旧造田村役場


木造下見板の洋風意匠。玄関のペディメントをドイツ壁風に仕上げたモダンな村役場です。
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旧丸亀町図書館


西讃の中心都市丸亀に相応しい立派な造りです。
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満濃池樋門


起源を遡れば大宝年間に始まる日本最大の溜池です。明治初期に改築された石組の樋門が現役で使われています。
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ひとまず香川の近代建築は今回で終了です。未探訪物件についてはまたの機会に紹介したいと思います。

by sunshine-works | 2012-12-26 23:57 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 12月 22日
香川の近代建築補遺2
香川の近代建築

香川の近代建築補遺、2回目の今回は医院建築と商業建築です。
県都高松は戦時中の空襲被害によって市域の多くが焼かれ、町中に残る近代建築はごく僅かなものとなりますが、県内各地の拠点都市には戦前築の店舗や個人医院が往時の姿で残されています。
近年の都市環境の変化で、これら周辺都市の中心街は往時の賑わいが薄らいでしまいましたが、残された建物はかつての繁栄ぶりを今に伝えています。

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吉田医院

善通寺駅の東、伊予街道沿いに建つ現役の医院。昭和初期の築と思われるモダン建築です。
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安治川歯科医院

琴平の中心部の手前角に建つ歯科医院。こちらも現役のようです。
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旧松本歯科医院

讃岐白鳥の住宅地にひっそりと残る木造の医院建築。こちらは廃院となっていると思われます。
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川畑美髪院

戦前からの古い建物が数多く残る東かがわ市讃岐白鳥の中心街に建つ理容室。看板建築にも見えますが、木造モルタル2階建ての偽洋風建築です。間口に対して奥行きの薄い扁平な建物です。

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カフェ三本松

讃岐白鳥の隣町三本松駅前の喫茶店。本格的な洋風意匠ですが、後ろ側で和風建物と繋がっている様子からは看板建築と呼ぶべきでしょうか。
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春駒

丸亀駅北側の古くからの家並みに残る建物。かつて花街だったこの辺りには同様な建物が数多く有りましたが、近年は数えるほどとなっています。

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高須商会

坂出のアーケード街に残る店舗建築。スクラッチタイル張りの洋風意匠ですが、両側にうだつを持つ個性的な建物です。
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水尾メリヤス店

こちらも坂出のアーケード街に残るモダン建築。
一見すると単なる古い佇まいの店舗建物ですが、仔細に見ると各所に施された本格的な洋風意匠が際立つ建物です。
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*次回に続きます。

by sunshine-works | 2012-12-22 18:00 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 12月 18日
香川の近代建築補遺1
香川の近代建築

約2年半、60余回に亘って香川の近代建築を探訪してきましたが、とりあえず県内の一巡りを終えました。
次なる探訪先については改めて紹介したいと思いますが、その前にこれまでに紹介しきれなかった幾つかの物件について採り上げたいと思います。
香川の近代建築補遺その1、初回は香川の鉄道遺産です。

高松駅の手前、香西~高松間で香東川を渡る予讃線香東川橋梁。この区間の開業は明治30年ですが、現存するこの橋梁は昭和初期に架け直された2代目のものです。
香川県内の予讃線は後年に路線の付け替えが多く、また高速化・高規格化が優先して進められた為に古い年代の施設の現存例は多くありません。
この香東川橋梁は、予讃線の香川県内区間に現存する戦前築の橋梁としては最古のものとなります。
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橋脚はこの時代に多く用いられた楕円形断面のコンクリート橋脚。橋桁も当時の一般的な形式のものです。
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高徳線三本松~讃岐白鳥間に架けられた湊川橋梁。高徳線の香川県内区間は大正末期に着工され、昭和3年の讃岐津田 ~ 引田間延伸開業時にこの橋が架けられます。
橋脚は楕円形断面の定番とも言えるものですが、その上を渡るプレートガーダには明治期に作られたポーナル桁が使われています。
この橋が架けられた昭和初期には既に新しい規格の橋桁が制定されていますので、他所で架け替えられた桁を転用したものと推測されます。
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高徳線三本松駅舎。昭和3年の同区間延伸時に設置されました。開設時の木造駅舎が今も使われています。
中央入口上部に三角破風を立ち上げ、赤瓦を葺いた寄棟屋根に二つのドーマ屋根を乗せたモダンな駅舎。東讃の中心として栄えた往時の賑わいを伝えます。
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昭和38年に廃止された琴平参宮鉄道の終点、善通寺赤門前駅跡。同鉄道の駅舎としては唯一の現存例と思われます。
近年まで飲食店として使われていましたが、現在は空家となっています。
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※次回へ続きます。

by sunshine-works | 2012-12-18 23:57 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 11月 22日
鍋島灯台
香川県坂出市の近代建築その10

岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋は、塩飽諸島の大小5つの島に跨って桁が架けられています。
この5島の一つ、最も坂出側に位置する与島の隣に並ぶ鍋島には、明治5年に点灯された石造灯台が現役施設として稼働しています。
イギリス人技師ブラントンが手掛けた一連の灯台の一つとなるこの鍋島灯台は、四国で最も古い歴史を持つ灯台です。
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明治元年から8年間の間に、北海道から九州までの全国各地に26の灯台を築いたブラントンの初期の作品となります。この26灯台は、規模や構造によって幾つかの類型に分けられますが、最も多くを占めるのがこの鍋島灯台に見られる形式のものです。
この形式の灯台は、ブラントンが日本で最初に手掛けた 樫野埼灯台や淡路島の江崎灯台を始め、高さ10~20メートルまでの中規模灯台に多く用いられました。
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与島から防波堤によって繋がる鍋島の小高い丘の上に、南東に向いて建てられています。灯台自体の高さは約10メートル、海面から30メートルの灯高を確保します。
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灯塔が据えられる1階付属室部分は円筒を半分に切った独特の形状。ブラントンの石造灯台の多くにこの特徴が受け継がれています。風や波飛沫を受ける正面側を円形として強度を確保する為の工夫と思われます。
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コンクリートが普及する以前の明治初期、灯台には様々な素材が用いられていましたが、この鍋島灯台は付属建物(これらの施設はその後四国村へ移されています)を含めて全て地元産の花崗岩を積んで建てられました。
近辺に多くの石材産地が控え、優れた石工を擁していた当地の利を活かしたこの石造灯台は、140年を経た今も当時の姿を保ちます。
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狭い螺旋階段を上って灯室内部へ。普段は立入禁止ですが、年に数回の公開日が設けられています。
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明治期に建てられ、今尚使われている灯台は全国に67基。鍋島灯台は7番目に古いものとなります。
これら黎明期の現存灯台は、近代国家の要件として欠かせない通商の安全確保に、明治政府が国家の威信をかけて臨んだ灯台事業の概要を知る資料として、極めて価値の高いものと言えます。
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by sunshine-works | 2012-11-22 22:13 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(1)
2012年 10月 21日
百十四銀行旧坂出支店
香川県坂出市の近代建築その9

坂出駅の北側に広がる商業地域の一角に古い銀行建物が残されています。
現在はATMコーナーのみが使われているこの建物は、昭和5年に百十四銀行坂出支店として建てられました。
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長いアーケードが東西に繋がる商店街のほぼ中央にあたる場所に建つ、化粧タイル貼りの鉄筋コンクリート2階建て陸屋根造の建物です。
南面中央にがっしりとした玄関張出を据え、左右に窓を1枚ずつ配する小さな間口としていますが、奥行きを長く取って面積を確保します。
上部がアーケードで遮られている事と、左右の窓がパネルで覆われている事で、狭い正面側は玄関部分の存在感が強調されています。
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直線を主とした平面的な意匠。華美な装飾は持たず、表面タイルの質感と化粧石によるアクセントで意匠を表現します。
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一見するとスクラッチタイルに見えますが、縦横に目が刻まれた、布生地を思わせるタイルが貼られています。
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2階の窓間を飾る付柱。
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現存する百十四銀行の店舗として、戦前最後の築年の建物です。
商都として栄えた坂出の賑わいを偲ぶ歴史遺構として貴重な存在となっています。 
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by sunshine-works | 2012-10-21 23:07 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 09月 23日
坂出港務所
香川県坂出市の近代建築その8

古くから各種の製造業が栄えた坂出は、戦後には沿岸の塩田跡地に重化学工業が進出し香川随一の工業都市に成長します。この坂出の交易を支え、四国一の貨物取扱高を誇る坂出港の一角に、かつて港務所として使われていた建物が残されています。昭和9年に建てられたこの建物は1階が大阪商船の乗降場、2階を港湾事務所に充てられ、昭和31年まで使用されました。
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昭和31年に港務所としての役目を終えたこの建物は、海上保安署として15年間使われ、その後は市施設や事務所として使われますが、現在は一部が市の倉庫となっている以外は空区画、手入れもされず荒れた状態となっています。
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鉄筋コンクリート3階建、2階と3階部分がそれぞれセットバックしながら重なるルーフバルコニー形式とし、塔屋上部に小さなドームを乗せます。
平面を組み合わせ、陸屋根を葺いた現在に通じる外観ですが、各所をメダリオンやモール、付柱等で飾り、古典様式の意匠を色濃く残します。
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正面中央に設けられた車寄せ。
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側面の入口です。
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入江越しに遠方からの眺め。
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坂出の交易を支える重要な役割を担った建物ですが、現在は港の一角に半ば放置された状態で残されます。
高松港務所が取り壊された現在、香川に残る戦前の港湾事務所としては唯一の存在として貴重な存在となっています。
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by sunshine-works | 2012-09-23 23:58 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 09月 19日
旧鎌田共済会図書館
香川県坂出市の近代建築その7

坂出駅から線路沿いに西へ程なく、市街地の一角に置かれた緑地公園の隣に大正期に建てられた旧図書館が残されています。現在は郷土資料館として使われているこの建物は坂出の実業家鎌田勝太郎が設立した鎌田共済会の私設図書館として大正11年に建てられました。設計・施工:竹中工務店。
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坂出で醤油醸造と酒造を営む鎌田家の長男勝太郎は、家督を継いだ後に製塩業に進出。塩田勃興の中心的な役割を果たし、坂出を日本有数の製塩地帯へと発展させます。
塩田事業で大きな成功を収め、その後政界へ進出を果たした勝太郎は、地元文化振興を目的として私財を供して財団法人鎌田共済会を設立、その拠点として建てられたのがこの建物です。
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坂出市内に現存する大正期の建物としては数少ない本格的な鉄筋コンクリート建物です。
直線・平面で構成されるシンプルな外観ですが、整然と並ぶ2階のアーチ窓やその上に立ち上がるパラペットに現される様式美に、当時最新の流行を取り入れた優れた建築意匠が見て取れます。
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中央に据えられた車寄せ。太い柱で分厚い庇を支えます。
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人造石を貼った玄関周り。玄関扉は建物の規模に比べると小ぶりな印象です。
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鎌田共済会図書館は、戦前の私設図書館の中でも全国有数の規模を誇る存在として知られていました。
その後、この建物は坂出市立図書館として長きに亘って使われましたが、新図書館の竣工に伴って再び鎌田共済会に所有が移され、現在は郷土資料館として使われています。
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建物左手にはもう一つ小さな入口があります。
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全国に残る戦前築の図書館の遺構の中でも、意匠性に優れ、規模も大きなこの建物は、地方に於ける図書館建築の良例として貴重です。
隆盛を極めた当時の坂出の賑わいを今に伝える存在として、歴史資料としても重要な建物と思えます。
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by sunshine-works | 2012-09-19 23:57 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 08月 25日
旧坂出高等商業学校本館
香川県坂出市の近代建築その6

坂出駅の西側、商業地区の裏手に木造2階建ての旧校舎が残されています。
坂出市郷土資料館として使われているこの建物は、大正年8年に坂出高等商業学校の本館として建てられました。
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木造2階建て下見板貼り、中央に車寄せ庇を張出し、左右シンメトリーに棟を配置、中央屋根に三角破風を飾り、日本瓦で葺かれた屋根にはドーマー屋根と小さな塔屋を乗せています。
大正中期の学校建築の特徴が良く現わされており、県内では翌年に建てられた粟島航海学校本館と並ぶ大正期の校舎建築の現存例となります。
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西讃の拠点都市だった坂出には、明治34年に県内2番目となる商業学校が開かれていました。この時設置された香川県立商業学校は、その後市立高松商業学校と統合される事となり、代わって大正3年に設立されたのが坂出商業学校の前身となる綾歌郡立商業学校でした。
この校舎は同校が県立坂出商業学校へと改編される際に建てられたものとなります。
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明治期の学校建築に特徴的な豪奢な装飾を施した重厚な意匠も、この時期になるとモダンで洗練された校舎へと変わっていきます。この坂出商業学校校舎に見られる1階と2階の窓の配置に連続性を持たせ、垂直方向のラインを強調する手法は、学校や庁舎等の木造建物に数多く使われます。
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正面玄関とその周辺部の詳細です。
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下見板貼の外壁。合わせ目に段差が無いドイツ下見板です。
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側面と裏側にも小さな入口が設けられています。
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坂出高等商業学校は戦後に県立坂出商業高校として引き継がれ、前身の綾歌商業学校から数えると約100年に及ぶ長い歴史を持つ商業学校として今日に至ります。
60年に渡って商業学校の学舎として使われたこの建物は、商業の拠点として栄えた坂出を象徴する貴重な歴史遺産となっています。
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by sunshine-works | 2012-08-25 17:57 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)
2012年 07月 18日
旧堺家住宅洋館(倉の館三角邸)
香川県宇多津町の近代建築

宇多津の中心部に、肥料商として成功を収めた堺家の別邸が残されています。
純和風様式で建てられたこの建物の一角に、急勾配の三角屋根を持つ小さな洋館部分が添えられています。昭和初期に主屋と共に建てられたこの建物は、宇多津町に現存する唯一の戦前築の洋風建築となります。
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丸亀と坂出に挟まれた宇多津は香川県で最も小さな自治体ですが、海に面したこの地には古くから製塩業が栄え、また讃岐の特産品が集まる交易の拠点として発展を遂げました。
肥料の商いで大きな財を得た堺家が昭和の初期に迎賓施設として建てたのが、和風建築の主屋と洋館からなるこの別邸です。
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尖った屋根が遠くから良く目立つ洋館。敷地の北側に建てられています。
一階、二階ともに間取りは一部屋づつ。独立した建物では無く、基礎や外壁の一部は主屋に繋がっています。
一階が書斎兼応接室、二階は子供の勉強部屋に充てられていたとの事です。
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外装の一部は近年に改装されています。屋根は当初のスレート葺きから平瓦に変更され、ステンドグラス風の窓が追加されました。屋根瓦については然程の違和感は無いものの、おそらくアクリル製と思われるステンドグラス風窓は質感に乏しく、建物の風合いとも馴染まない、些か残念な結果になっています。
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建物の高さの三分の一を占める大きな屋根。屋根の先端には避雷針が付けられています。
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入母屋造2階建ての主屋。内装、外装共に贅を凝らした造りです。
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敷地の外から主屋を眺めます。
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住居の一部分を洋館風の造りとする例は、邸宅から個人住宅まで規模の大小を問わず当時広く行われていました。慣れ親しんだ日本家屋を生活の場とし、洋館部分は接待や社交の場とするのが一般的だったようです。
戦後、住宅スタイルが両者が融合した形に進化するにつれてこの手法は廃れ、「日本家屋」や「洋館」といった名称も過去の物となっていきました。
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by sunshine-works | 2012-07-18 20:16 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(2)
2012年 07月 14日
旧後藤医院
香川県坂出市の近代建築その5

前回紹介した木田歯科医院から南へ進んで程なく、赤く塗られた屋根が印象的な洋風建築が見えてきます。この建物も旧医院として建てられ、閉院した後も当時の姿を保ったまま残されています。大正9年築。
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大正9年に内科医院として建てられ、戦後の昭和36年から昭和63年までは産婦人科医院として使われました。その後現在に至るまで医院として使われる事なく、空家となっています。
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木造モルタル2階建て、大きなマンサード屋根の傾斜面にドーマーを張出します。外壁は平面を基調としたセセッション風の意匠、垂直方向に柱型が添えられ、柱型上部に花弁状のレリーフを飾ります。
華美な装飾はありませんが、広い壁面空間に程良いアクセントが添えられ、個性的な屋根とバランス良く調和します。
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こちらは南面です。1階が診療室や待合室、2階は病室として使われていました。
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各窓の中間に添えられた柱型。窓の下にもレリーフが飾られます。
部分的に残る化粧タイルは元々の仕様。現在は一部を残して塗り重ねられています。
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建物南側の狭い路地からの眺め。当初西側にあった入口は塞がれ、この路地に沿って東に増築した別棟に出入口が移されています。
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これまでも香川県に残る古い医院建築を数多く紹介してきましたが、一例を除いて他は全て閉院し空家となっています。
全国的に見ても、都市部に建てられた古い個人医院の多くは廃業と共に放置されたままとなっているのが実状です。地域の近代化を支えたこれらの個性的な医院建築は、やがて朽ち果て、いつの間にか町の風景から消え去っていくのでしょうか。
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by sunshine-works | 2012-07-14 18:05 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)