2008年 10月 22日
ユアサ食料ビル
神戸兵庫区の近代建築その15

運河周辺から区の中心部へ戻る途中に現在ユアサ食糧の社屋となっている古びたビルが建っています。データによると昭和2年築、設計者:高松吉三郎とされています。元々は銀行だったとの資料もありますが詳細は不明です。
f0116479_21524343.jpg

この建物がある本町周辺は兵庫区の中でも古くから栄えた場所でした。江戸時代に多くの寺が置かれたこの界隈には明治以降 多くの銀行や事業所が進出していました。この建物が建てられた昭和初期、神戸の経済の中心はすでに東へ移っていましたが、この周辺は地場の商業拠点としてまだまだ活気のある場所だったようです。
f0116479_220173.jpg

正面の外壁は薄茶色の地味な色合いの石が貼られています。大通りから1本裏側、しかも敷地の奥に建っていて本来は目立ち難い建物なのですが、クラシカルなスタイルが遠目からも人目を惹きます。玄関の大きなアーチ、細部に施された手の込んだ装飾、重厚な石の質感等、単なる事務所ビルとは思えない只ならぬ雰囲気が漂ってきます。
f0116479_2242672.jpg

f0116479_2213299.jpg

f0116479_221288.jpg

f0116479_2213385.jpg

f0116479_221525.jpg

f0116479_2221641.jpg

f0116479_2225931.jpg

f0116479_2232433.jpg

現在どのような用途で使われているのかは不明ですが、保存状態は芳しくありません。
入り口扉も常時出入りがあるようには見えず、現用施設ではない可能性もあります。
f0116479_227174.jpg

f0116479_2274878.jpg

f0116479_2252893.jpg

f0116479_2255879.jpg

玄関ホールの床に貼られたタイル。床面は波打っており一部の床板は抜けた状態です。
f0116479_2285482.jpg

建物北面の非常階段。腐食が激しく危険な状態です。
f0116479_229245.jpg

f0116479_2295478.jpg

f0116479_22121022.jpg

海岸通りや旧居留地に残る同時代のビルは立地条件と景観を活かしてさまざまに再生・転用が図られています。
しかし、このような周辺部に位置するビルの再活用についてはなかなか有効な策が出てこないのが現状のようです。旧市街地の活性化には格好の素材とも思われるのですが「費用対効果」と言う大きなハードルの前には如何ともしがたいのでしょうか。
f0116479_22105584.jpg


by sunshine-works | 2008-10-22 22:29 | 近代建築 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : http://hardcandy.exblog.jp/tb/9459067
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by ひろ009 at 2008-10-23 22:58 x
おーっ、ここも凄いですね。とびっきりの建物だと思います。
全く知らなかった建物ですが、何という佇まい。。。
解体間近?の匂いが濃厚なようなので、早めに見にいかなくては!
兵庫区にはまだまだ掘り出し物があるのでしょうか?
Commented by sunshine-works at 2008-10-24 12:31
ひろ009さんこんにちは。
資料が無くて確認できないのですが、兵庫埠頭の倉庫が並ぶエリアには昭和初期の雰囲気漂う物件が幾つかありますね。沿岸部の工場の中にも古い建物がありそうですが部外者は入れないのが残念です。歴史のある区なので探せば他にももっとあるかもしれません。
*歴史が古く区域も広いのに住宅(洋館)がほとんど残っていないのはとっても不思議です。
Commented by 北夙川不可止 at 2011-10-26 03:41 x
はじめまして。このビル、僕も気になっていました。外壁は「石貼り」ではなく「人造石洗い出し仕上げ」のように見えますね。
Commented by sunshine-works at 2011-10-26 21:41
北夙川不可止さん こんばんは。
「人造石洗い出し」、確かにそのようですね。
それにしても味わいのある不思議な建物です。資料によると旧岡方倶楽部とありますが、どのような用途だったのでしょうか。
この写真を撮った時は相当危うい状態でしたが、いまも健在なのか気になる処です。


<< 関西電力湊川変電所(旧神戸電燈...      加藤海運ビル >>