2008年 09月 20日
神戸兵庫区の近代建築その7 湊川の付け替えによって河川敷跡を埋め立てて造られた湊川公園は、元々が天井川だった為に小高い台地になっています。この台地の1階部分、公園の真下に神戸電鉄の湊川駅が置かれています。この駅舎は神戸と有馬・三田を結ぶ神戸有馬電気鉄道が開通した昭和3年に始発駅として建てられたものです。 この駅は現在地下駅となっていますが昭和43年までは地上駅(半地下駅)でした。路面を地下に移した後は玄関口として駅舎外壁が残され、それまでホームが敷かれていた部分は店舗スペースやコンコースとして使用されています。 大正時代までは神戸市街から有馬温泉へ行くには徒歩で六甲山を超えるか、尼崎経由で一旦三田へ出てそこから有馬鉄道(当時は三田~有馬間を結ぶ鉄道が敷かれていました)で行く方法のどちらかでした。六甲山を最短ルートで南北に結ぶ鉄道路線は長年に亘って構想されていたのですが、当時の技術では難工事が予測され、莫大な事業費がネックとなって実現が阻まれていました。 長年の夢だった神戸と有馬を結ぶ鉄道は、有馬鉄道の創設者だった山脇延吉が起こした神戸有馬電気鉄道によって達成されます。予想通りの難工事の連続となりましたが昭和3年に湊川~有馬温泉、さらに三田までの20キロ余が開通します。 入口上部の半円形の部分にはかって時計が取り付けられていました。 同時代に建てられた国鉄神戸駅や三宮駅、阪急三宮駅等に比べると規模が小さく色合いも地味な建物ですが、当時の写真を見ると大きな庇と正面の時計が印象的なモダンな駅舎でした。 (現在の庇は後年付け替えられた物のようです) 開業以来始発駅となっていた湊川駅ですが、国鉄や他の私鉄との接続が無く(市電のみ)、さらにホームが短い為に輸送力増強もできない状況で、神戸電鉄にとっては大きな課題となっていました。 この問題を解決したのが神戸に乗り入れる私鉄各社と神戸市の合弁で発足した神戸高速鉄道の開業でした。神戸高速鉄道の基点として設けられた新開地駅まで路線を地下で延伸し新開地駅を実質的な始発駅に変更、湊川駅は長編成車両の発着が可能なホームを備えた地下駅に生まれ変わりました。 現在この湊川駅はターミナルとしての役割を終えていますが、神戸電鉄開業時の足跡を留めるモニュメントとして象徴的な存在となっています。
by sunshine-works
| 2008-09-20 17:55
| 近代建築 兵庫県
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