2008年 08月 27日
立ヶ畑堰堤(烏原ダム)
神戸兵庫区の近代建築その1

北区の区境を南へ、古戦場で知られる鵯越(ひよどり越え)を抜けて兵庫区へ歩を進めます。
兵庫区は開港前の神戸の中心として古くから栄えた地です。平家が築いた大輪田の泊(兵庫津)は海運の拠点として発展し、現在のみなと神戸の基礎となりました。明治になると海岸沿いの一帯に大企業の工場が造られ、丘陵地域は住宅や文教地帯として開発されていきます。
神戸発展の原動力となった近代化遺産が数多く残る兵庫区の探訪、第1回目は前回の千苅堰堤に引き続いて水源施設を紹介します。
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神戸最初の水道ダムとして布引ダムが築かれた5年後、明治38年に2番目のダムとしてこの烏原ダムが竣工しました。布引ダムの約2倍、130万㎥の水量を蓄える重力式ダムです。
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町並みを抜け、急な坂を登ること10分程でこの貯水地に到達します。坂道を振り返れば港や市街地が眼下に広がるのですが、坂を登りきったその先には豊潤に水を湛えるダム湖が突然現れます。街のすぐ裏手にこれだけの規模の水源施設が築かれているのは海岸線間近に山が迫る港町ならではの光景と言えます。
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構造は他の2つのダム同様、粗石とモルタルで堤体を築き、上部に石を張っています。美しく弧を描く堰堤は他2つのダムにない特徴です
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中央に並ぶ4連のゲート。
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堰堤上部。半円形断面のポンプ機械室は山田池ダムの物と良く似ています。
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天端から覗いた下流側。
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堰堤の傍にはかっての管理棟(?)が建っています。
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下流側をさらに進んだ辺りに残る石橋。
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日本最初の重力式ダムである布引ダムとこれに続く烏原ダムの竣工によって近代ダムの技術は確立され、その後は全国に大規模なダムが続々と造られていきます。神戸市が取り組んだダム事業は日本の近代土木を語る上で欠かせない大きな役割を果たしていました。
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by sunshine-works | 2008-08-27 23:12 | 近代建築 兵庫県 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from ひろの東本西走!? at 2008-10-26 15:48
タイトル : 烏原貯水池(神戸市兵庫区)
2週連続で神戸市兵庫区の近代建築探訪に出かけました。昨日は朝早くから夕方までかなり広範囲を歩き回ったのですが、今回の記事ははsunshine-worksさんのブログ”近代建築Watch”を参考にさせて... more
Commented by ひろ009 at 2008-10-26 15:56 x
こんにちは。昨日、ここも見てきました。建築物だけでなく山の中にある土木構築物などを見るのも面白いですね。かつての管理棟(?)や下流側の石橋は見付けられなかったのですが、これらがどこにあったのか、現存しているのかが気になります(笑)。
Commented by sunshine-works at 2008-10-27 12:37
ひろ009さん、こんにちは。
管理棟らしき建物は堰堤のすぐ脇の一段高い場所にあったのですが撮影した当時使われていない様子でしたので解体されてしまったとも考えられますね。橋は下流側の回遊路から程なくの場所、小さな集落の近くにありました。


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