2008年 01月 31日
神戸市中央区の近代建築その21 税関前から海岸通り沿いに並ぶビル群も旧居留地から離れるこの辺りで一区切りとなります。この海岸ビルヂングは旧兼松商店の本社として明治43年に建てられました。設計は旧三井物産神戸支店(海岸ビル)と同じ河合浩蔵です。 海岸通りに並ぶ建物の中では最も古い建物です。神戸市内でも数少ない明治期に建てられ現存する非木造建築物でもあります。 同じ設計者による旧三井物産神戸支店と良く似た印象ですが、約10年時代を遡るこのビルは当然ながらより古典様式の色合いが強く現れています。ちなみに旧三井物産神戸支店はコンクリート建築ですが明治に建てられたこの建物はレンガ構造となっています。 この建物はかって日豪会館とも呼ばれていました。兼松商店は後に総合商社へと発展していきますが、元々は豪州の羊毛を扱う貿易会社がその始まりでした。 事業の拡大に伴い本社は東京へ移り、その後は貸事務所ビルとなりました。現在はブティックやデザイン事務所等が多数入居しています。レトロな雰囲気がおしゃれなショップに良く似合います。 正面側は全面石を貼ってありますが裏面はこのようにレンガ壁のままです。 隣のビルとの間の建物側面。窓の面格子は木製です。 裏側の入口です。 建物中央をまっすぐに最上階まで貫く階段。 館内は狭い間隔で柱が並びます。 建物奥にも小階段が設けられています。現在のビルの非常階段には鉄製のものがありますがこの時代の屋内階段が鉄製なのは珍しいのではないでしょうか。まるで船のタラップのような印象です。後年につけられた物かも知れません。 明治時代に建てられたビルが今も現役として使われているのはそれだけでもすばらしい事ですが、この建物は商業利用によってその魅力をさらに高めています。 古いながらも寂れた風でなく、雰囲気を活かした上手な再生方法の見本の様に思えます。
by sunshine-works
| 2008-01-31 21:47
| 近代建築 兵庫県
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Comments(2)
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rara380 at 2008-02-07 11:12
日本に居て、ヨーロッパを見てる感じになりますね。内部の清掃も行き届いており、清潔感があります。建物もすばらしいが、管理者の指導も良いと思います。
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sunshine-works at 2008-02-08 02:37
rara380さん、コメントありがとうございます。明治期のビルですが隅々まで良く手入れされています。古い物を大事に使っていく所有者の姿勢が伝わってきますね。
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