2007年 12月 18日
神戸中央区の近代建築その12 新港地区の埠頭に沿って大きな倉庫が並びます。これらは新港が築かれた大正末期に相次いで建てられた港湾倉庫で、今日の近代倉庫の元祖となりました。 明治~大正期の倉庫と言えばレンガあるいは木造で建てられた平屋か2階建のものでした。しかし、内壁が少なく天井空間の高い倉庫特有の構造故にレンガでは強度が保てず、大型化には自ずから限界がありました。今日一般的に見られる大型倉庫はコンクリート建築技術が発達する大正末に初めて登場します。この新港地区に建てられた倉庫群がその始まりであると言われています。 ここには地元資本の川西倉庫と日本の三大財閥企業である三井、三菱、住友各社の倉庫が軒を並べています。 一番西側に位置する川西倉庫です。 弧を描くような外壁はかって敷かれていた臨港線の線路に合わせた為です。 この倉庫は大阪のダイビルや神戸の商船三井ビルを始め関西で多くの建物を手がけた渡辺節が設計しています。他の倉庫はモダニズムの色合いが強いのですが、この倉庫は古典様式のスタイルが垣間見れます。 裏面はあっさりした造りです。赤い手摺が印象的です。 川西倉庫の隣は住友倉庫です。 4つの倉庫の中ではもっともモダニズムに徹したデザインです。 さらに三菱倉庫が並びます。 角に付けられたアールと1階壁面の連続アーチがこの時代らしさを出しています。 東端に三井倉庫。当時の社名は前身の東神倉庫でした。 同じ建物が2棟並んでいます。 装飾的に付けられた大きなアーチが特徴。 新港地区の隣の小野浜にも三井の倉庫が建てられています。ほぼ同時期の築と思われます。 大正時代に新港地区に造成された4つの新しい埠頭と港湾施設によって神戸港は大きく飛躍する事となります。当時最新の技術で造られた港湾倉庫はその後も続々と建てられ、国内最大規模の物流拠点に成長します。建築物としては地味な存在であり脚光を浴びることのあまり無い倉庫ですが、経済活動を裏で支える大きな役割を80年以上も担ってきた功績は多大なものがあります。
by sunshine-works
| 2007-12-18 23:50
| 近代建築 兵庫県
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