2007年 12月 01日
旧神戸市立生糸検査所
神戸中央区の近代建築その8

フラワーロードの南端、新港地区と呼ばれるこの一帯は戦前の建物が並ぶ古き時代の港街神戸を偲ばせる一角です。今回からこの地区に残る近代建築を順番に紹介していきます。

新港地区の入口には神戸税関と向かい会って神戸市立と国立、2棟の旧生糸検査所が建っています。神戸市営繕課によって昭和2年に建てられた旧神戸市立生糸検査所を最初に紹介します。
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開国以来の日本の主要輸出品であった生糸は生産地が北関東や甲信越に集中していた事もあって9割以上が横浜を積出港としていました。しかし、独占状態にあった横浜の生糸輸出港としての地位は大正12年の関東大震災によって大きく変わってしまいます。壊滅状態となった横浜の港湾施設を代替する形で急遽神戸港がその役割を担い、国内各地から神戸に生糸が集められます。それまで横浜にのみ置かれていた生糸検査所も神戸に設置する必要に迫られ、仮設の検査所を経てこの建物が造られる事となります。
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神戸市営繕課は神戸に数々の作品を残した清水栄二が大正15年まで課長を務めていました。この建物は清水栄二が独立した後の昭和2年に竣工しましたが氏の作風は色濃く受け継がれており、少なくとも基本設計までは係わっていたか、独立後に共同参画していたかと思われます。
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庁舎に多く見られるゴシック調のデザインですがその中でもネオゴシックと呼ばれる様式に分類されるそうです。清水栄二はこの6年後に代表作である御影公会堂を手掛けますがこの生糸検査所の縦のラインの表現手法などは後の御影公会堂のデザインと共通する要素が伺えます。
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エントランス上部の不思議な飾りは蚕を模ったものです。この蚕は南西のコーナーにも取り付けられています
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玄関はゴシック様式の尖塔アーチになっています。
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玄関両脇の柱は建物頂部を越えて空に突き抜けています。
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先日、この建物と次回紹介する国立生糸検査所の二つの建物について非常に気がかりなニュースが報道されました。現在この建物の所有者となっている農水省が2008年度中に施設を売却するらしいのです。売却後の予定は発表されていませんが解体される事も充分予想されます。
何とも不安な雲行きなのですが景観上も歴史的にも神戸港を象徴するこの建物の今後の動向を注目して行きたいと思います。
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by sunshine-works | 2007-12-01 16:18 | 近代建築 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from Life with Le.. at 2010-10-11 20:34
タイトル : 旧神戸生糸検査所へ行ってきた
Panasonic LUMIX GF1 LUMIX G 20mm F1.7 旧神戸生糸検査所で。 ぷにょさんのサイトで、旧神戸生糸検査所でイベントがあるのを知り、出かけてきた。 イベントそのものもさることながら、普段は入れない近代建築に入れるのが楽しい。 (昨年の秋、神戸の旧二葉小学校でのイベントもそうだった) 神戸生糸検査所についてはかつて こんなことを。 ... more


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