2007年 11月 23日
帝国信栄本社ビル
神戸中央区の近代建築その6

阪急三宮駅の北東、中小の雑居ビルや事業所が立ち並ぶ駅裏の一角に焦茶色の外壁の2階建ビルが建っています。この建物は不動産管理会社帝国信栄株式会社の社屋として大正12年に建てられ現在も同社の本社ビルとして使われています。設計は神戸に縁の深い清水栄二です。
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このビルは阪急線のガード沿いの駅前の雑踏から少し離れた所にあります。メインストリートであるフラワーロードの裏筋にあたる場所でこれと言ったスポットも無いどこにでもありそうな街並みなのですが、ごく普通の景色の中に独特の存在感で異彩を放っているのがこの建物です。
焦茶色の外壁も個性的ですがコーナーの形に沿わした台形の平面、太い丸柱が並ぶ側面、立体的な窓格子、時代を感じさせる右書の社名板等々、特徴に事欠かない建物です。
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2階建ての建物にしては不釣合いな程に太い丸柱が何本も並ぶ様は非常に頑丈な印象を受けます。早くから耐震性を重視していた清水栄二の設計した建物には同じような傾向が伺えます。
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1階の各窓には籠のような格子が付けられています。現在は引違い式の窓ですが当初は外開きの窓だったのでしょうか。
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建物表面の腰周りはこのような石を巡らしています。
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正面ファサードの上部は付柱で飾られています。入口の左右の柱に付けられた赤い金物がユニークです。
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明治以降神戸の中心街となる旧居留地や海岸通りには大規模なビルが建ち並んで行きます。今日現存しているそれら名の知れ渡った建物は歴史的価値があり景観建物としても高く評価され保存・再生を巡っては衆目を集めるところとなっています。しかしこの建物のように地味で無名の建物を残していく事も疎かにしてはならないでしょう。各地の裏町にひっそりと建つ貴重な建物は再開発の名の下にいつの間にか失われてしまっているのが現状です。
規模や知名度で建物の価値が決まるものでは無いのですがこれも一種のブランド志向となっているのが何とも残念なところです。
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by sunshine-works | 2007-11-23 01:06 | 近代建築 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 帝国信栄株式会社総務部千代谷 at 2009-10-24 10:58 x
ご紹介いただき有難うございます。
なにせ建築後ずいぶんたちますので、建築当初のいきさつは不詳です。
一説では、元々紡績工場があり、それをリニューアルしたとの説もありあます。e-mail chiyotani@teikokushinei.co.jp
Commented by sunshine-works at 2009-10-25 11:16
帝国信栄株式会社総務部千代谷 様 コメント有難うございます。
確かに当時のこの辺は現在ほど市街化されていなかった場所ですから、工場があってもおかしくはないですね。
いきさつはどうあれ、90年にわたって大事に使われているのが見て取れる素晴らしい建物です。


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