2007年 10月 12日
六甲中学 本館(六甲学院中学・高校 本館)
神戸灘区の近代建築その14

六甲ケーブルで麓へ戻ります。ケーブル下駅から神戸大学を抜けて西へ進むと神戸松蔭女子大学、その先に六甲学院中学・高校の校舎が建っています。この建物も神戸大学同様に急峻な斜面の棚地に建てられています。一見すると近年の建築物に見えますが昭和16年に建てらたものです。
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六甲学院は創立70年を越える歴史を持つカトリック系(イエズス会系)の私立男子高校で阪神間では有数の進学高として知られています。昭和13年に六甲中学校として当地で開学し昭和16年に現在の鉄筋コンクリート造の校舎が建てられました。昭和16年が太平洋戦争開戦の年でもあった事を思うとよくぞこれだけの規模の校舎が建ったと思います。(統制により大規模建造物の建設は規制を受けていました。)カトリック系の学校ゆえに軍部から睨まれていたそうで学校関係者の苦心も相当な物だったようです。
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鉄筋4階建ての長大な校舎ですが戦後に左右を増築しています。(一段張り出している箇所が増築部分と思われます)
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戦後の学校建築に一般的に見られるモダニズム建築のスタイルです。機能を優先し装飾を廃したいわゆる「コンクリートの四角い箱」ですが玄関部分と正面中央のファサードに控えめな装飾表現が見られます。時代背景を考えれば設計側として精一杯の主張だったと思います。
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さほど時代を感じさせない外観ですが内部はなるほど戦前に建てられた校舎である事が伺えます。
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曲線のラインが美しい階段手摺。
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建物西側部分
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裏側の様子
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大正期に現れたモダニズム建築(様式主義に対してのモダン建築)ですが一般的に広まっていくのは戦後になってからのことです。昭和初期にはそれなりの流行を見ましたが戦時体制によって建築全体が停滞したことにより本格的な普及は戦後復興を契機とした昭和20年代以降になります。経済発展にともなって続々と生み出されていく戦後建築のほとんどが今日一般的に見られるいわゆる「コンクリートの四角い箱」でした。特に学校建築は機能優先の立場とコスト重視の面からこの流れに従っていきました。
戦前にも幾つかの学校建物にはモダニズム建築で建てられたものがありました。この六甲中学の校舎もその一つですが昭和16年という建築時期を考えると戦前の最終期の建物であると思われます。

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by sunshine-works | 2007-10-12 18:17 | 近代建築 | Trackback | Comments(4)
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Commented at 2008-11-01 14:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-05-25 14:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 六甲大根おろし at 2010-06-14 00:54 x
六甲の校舎、残念ながら、この夏、解体されます。
名残惜しい限りです。
なんとか維持できなかったものかと思いますが、でもこんな美しい写真に残していただいてうれしいです。自分ではなかなかうまくとれなかったので・・
生徒さんでこんな川柳を作った方がいました
「磨いても壊されていくこの校舎」
Commented by sunshine-works at 2010-06-14 18:29
六甲大根おろしさん こんばんは。
解体の件、残念な結果となってしまいましたね。現在のレベルで見ても全く古さを感じさせない、時代を先読みした素晴らしい設計だったと思います。今後、建てられる新校舎も、この校舎に負けない美しい校舎となる事を期待したいですね。


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