2007年 08月 26日
鈴木薄荷事務所・工場

神戸灘区の近代建築その2

JR六甲道駅から西へ進んで程なく、住宅街の中にRC3階建の大きな建物が見えてきます。
薄荷(ハッカ)製造会社である鈴木薄荷株式会社が事務所及び工場施設として使用しているこの建物は昭和初期に造られたものと言われています。設計施工データの詳細は不明ですが戦前の工場事務所のスタイルを伝える神戸市では数少ない現役施設です。
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鈴木薄荷株式会社はかって鈴木財閥とも呼ばれた鈴木商店の一部門が独立したものです。昭和初期の恐慌で経営破綻するまでの短い間でしたが鈴木商店は有名財閥に伍する一大グループを形成していました。神戸製鋼や播磨造船、テイジン等日本を代表する大企業も鈴木商店の系列企業のひとつでした。
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余分な装飾を極力省き機能優先で造られている為でしょうか、一見すると然程古い建物には見えません。しかし細部のディテールには昭和初期の意匠が見てとれます。
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この建物を印象付けている大きく長い庇。角の丸み加減がこの時代ならではの雰囲気を出しています。
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正面入口は一段高い位置にあります。あっさりしたデザインです。
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搬出入口が前面道路に面して設置されています。
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裏側の景色。こちら側はいかにも工場施設らしい造りです。複雑に巡らされた大小の配管類が建物に取り込まれていく様には独特の美しさがあります。
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戦時中はまだ周囲の住宅も少なく、大きな建物は目だったようです。当時の写真には全体を黒っぽく迷彩塗装を施したこの建物の姿が残っています。(つい最近までその名残があったそうです)
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鈴木薄荷株式会社がこの建物を使用したのは同社社史によれば昭和22年からとの事。それ以前の家主はわかりませんでした。同じように工場を兼ねた施設だったと思われます。
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工場施設には戦前からの古い建物が現役で使われている例が比較的多く見られます。業種業態にも拠るのでしょうが機械設備さえ更新すれば躯体である建物は「入れ物」としての用を成せば足り、住居や商業施設ほどには不具合が生じない事も理由のひとつかもしれません。
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by sunshine-works | 2007-08-26 22:44 | 近代建築 | Trackback | Comments(1)
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Commented at 2007-10-13 00:38 x
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