2007年 08月 18日
旧乾新治邸

神戸東灘区の近代建築その10

関西の事業家が競って豪邸を建てた旧住吉村は現在も閑静な高級住宅街としてその佇まいを残しています。しかし開発から100年近い年月を経る中で多くの邸宅が建て替えらてしまいました。それでも建築当初の姿を留めている建物も少なからず残っています。今回紹介する旧乾新兵衛邸は当地に現存する邸宅の中でも規模や内外装のすばらしさに於いて随一と言える建物です。
昭和11年築。設計 渡辺節
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乾新治(後に新兵衛を襲名)は昭和初期に乾汽船社長を務めた人物です。先代の乾新兵衛が創業した乾汽船の2代目として裕福な環境に育ち、この地に当時最高レベルの邸宅を建てました。設計者の渡辺節はダイビルや綿業会館で有名ですが個人宅の設計はあまり多くありません。交友関係にあった縁で渡辺節に設計依頼をしたようです。
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中央に張出部分を設け1階左に和室、右に吹き抜けのホールを配した造りとなっています。
中央張り出し部分が建物の印象を強く特徴的付けています。
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緑豊かな前庭。季節の木々が目を楽しませます。
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正面各部詳細
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車寄せから玄関までを結ぶ回廊。建物を見渡せるようにあえて距離を長く取っているそうです。
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来客用玄関に貼られている中東風のタイル飾り。
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東面には大きな明り取り窓が設けられています。
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西面。こちら側にはかって和館が建っていました。
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室内はチーク材を随所に使用した贅沢な造りです。階段手摺のカーブ部分は継合わせではなく1本の原木からの削り出しとの事。
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室内各所のすばらしい装飾
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乾新治から乾豊彦へ当主が代わった後も乾家の邸宅として使われてきましたが平成5年、乾豊彦が死去した際に相続対策として国に物納されてしまいました。今後の行方について明確な結論が出ていない何とも気になる状況に置かれています。現在はその存続を図るべく市民団体により保存運動が続けられています。
旧室谷邸のように貴重な建物を取り壊してしまう愚が繰り返されないことを祈るばかりです。
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*神戸東灘区の近代建築巡りはひとまず今回で終了、次回からは灘区を巡ります。

by sunshine-works | 2007-08-18 19:40 | 近代建築 | Trackback(1) | Comments(2)
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Tracked from レトロな建物を訪ねて at 2007-09-18 16:57
タイトル : 神戸御影の旧乾邸
 阪急電車の御影駅から白鶴美術館を目指して北に進むと、高級住宅が立ち並ぶ一角があります。ヴォーリズの小寺邸から見て東側に位置する大邸宅。海運業を営んでいた乾新兵衛氏の住宅でした。昨年11月24日に放映されたドラマ「虹を架ける王妃」のロケ地。  現在はヴォーリズの六甲山荘と同じくアメニティ2000協会によって保存・活用されています。鉄筋コンクリート造、一部木造2階建。 旧乾邸 1936(昭和6)年 設計 : 渡辺節 施工 : 竹中工務店 神戸市東灘区住吉山手5-1-30 撮影 2006....... more
Commented by 上野勝男 at 2014-06-25 18:56 x
先ず内容のある分厚いブログに感服いたします。次に渡辺節の建築設計士に興味がわいてきます。と言うのも三井商船ビルも朝日会館も好きな建物で同じ設計者と始めて知りました。さらにこんな豪邸も設計。後々までの美しい作品を残していかに幸せな人生だったのでしょうか。を紹介されるブログも素敵でした。
Commented by sunshine-works at 2014-06-26 12:14
上野勝男様 はじめまして。
阪神間の近代建築を巡る中で、渡辺節の残した功績は多大なものがあります。
解体の危惧もあったこの乾邸が最終的に保存される事となったのも、設計者渡辺節の優れた技法があってのものと思います。


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