2013年 08月 10日
豊岡の近代建築その1 江戸の古い町並みが残る豊岡市出石の中心部に明治期から伝わる演劇場が残されています。 現存する芝居小屋としては関西地方最古となるこの建物は、明治34年に建てられました。 道路に面した正面口。玄関上部には公演を告げる太鼓楼が設けられています。 舞台と客席の配置に合わせて並ぶ窓。道路に沿って長く壁面が延びます。 当初は芝居小屋として建てられ、大正期からは映画の上映も行われます。 戦後は映画中心に使われていましたが、娯楽の多様化に伴って衰退し昭和39年に閉館となりました。 その後長く放置されていましたが、平成20年に改修工事を行って再び演劇場として開館します。 竣工以来幾度か改装が重ねられた事や閉鎖期間が長きに渡った事で改修に際しては大規模な復元工事となったようです。 補修可能な部材は極力再利用されましたが、外壁や屋根瓦は更新され、建具も当時の資料を参考に再現されています。 現在使われている建物側面の入口。 公演日と休館日以外は一般に公開されています。入場料300円を払って館内へ。 演劇場の姿に復元された館内。 座布団が敷き詰められた桟敷席、壁面に昭和40年代の広告看板が並びます。 舞台の上手に楽屋や控室が並びます。 大衆演劇から古典芸能まで広範に対応する芝居小屋として本格的な舞台装置を備えます。 狭い階段を地下に下りるとせり上がりや回転舞台の仕掛けを見る事ができます。 当事の庶民の娯楽の中心だった芝居小屋の殆どは映画館に転じた後に廃業となり、現存例は極めて少数、さらに現在も公演が行われている所は数例しかありません。 見事に復元されたこの永楽館は当事の地方舞台の姿を伝える資料として貴重な存在となっています。
by sunshine-works
| 2013-08-10 21:28
| 近代建築 兵庫県
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Comments(2)
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earybird at 2013-08-16 09:30
お久しぶりです。
貴重な芝居小屋が残っていますね!! 内部には過去の足跡が見受けられます。 「金丸座」(琴平)しか見たことがありませんが 地方の劇場・映画館はかなり厳しい経営環境の ようですね。 太郎
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sunshine-works at 2013-08-19 22:21
太郎さん お久しぶりです。
地方で現役を続ける芝居小屋の中で公演収入によって成り立っている例は殆ど無いと思います。 この永楽館も観光施設や町興しの拠点としての役割が主となっていますが、優れた建物を保存する方策としてはこれを於いて無いのではないでしょうか。 |
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