2013年 06月 30日
旧川口郵便局
徳島県三好市の近代建築その5

徳島県の西部、高知県境に近い土讃線川口駅の駅前通りに明治期に建てられた旧郵便局舎が現存します。
現在は写真館となっているこの建物は、旧川口郵便局として明治38年に建てられ、昭和末期まで使用されました。
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線路と平行して続く駅前通りの真中付近、小さな商店が並ぶ中に建つ木造2階建ての洋風建築。
当時の郵便局舎に良く見られる下見板貼り、寄棟屋根、和洋折衷様式の建物ですが、軒下や庇に添えられたパージボードや留蓋や鴟尾を飾った桟瓦屋根、銅板葺きの玄関庇等、個性的な意匠を各所に取り入れた見所豊富な局舎です。
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四方の軒下には半円形や鋸刃形のパージ、玄関庇下には櫛形のパージを飾ります。
これらはアメリカで発達した木造ゴシックに見られる技法で、明治期の木造洋館、特に駅舎や郵便局にこのような形状の軒飾りが多く使われました。
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和風意匠そのままの寄棟屋根。
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当初は上げ下げ窓が設けられていたと思われる箇所はショウウインドウに改装されています。
上部には入口玄関に倣った窓庇が添えられています。
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資料によると、旧川口郵便局は当時四国で最大規模の特定郵便局だったそうです。
山あいの小さな町に残るモダンなこの建物は、往時の繁栄を今に伝える資料として貴重な存在となっています。
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by sunshine-works | 2013-06-30 20:34 | 近代建築 徳島県 | Trackback | Comments(0)


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