2013年 04月 05日
旧和田山機関庫
但馬の鉄道遺産その3

朝来市の中心駅和田山駅の北側、線路際の空地に古い煉瓦建造物が残されています。
この建物は明治45年に機関庫として建てられ、その後倉庫として使われました。
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明治末期に播但線と山陰本線の接続駅となった和田山駅は山陰・播磨・京都大阪方面の三方を結ぶ拠点として重要な役割を担います。
これに併せて和田山駅の構内には機関庫、転車台、給水塔等の施設や管理建物が建てられ、規模は小さいものの機関支区としての概要が整えられます。
この機関庫は両線が交わった明治44年の翌年に竣工、以来80年に渡り県北部の鉄道網の支えとしての勤めを果たしました。
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煉瓦造平屋建て、切妻屋根の当時の標準的な煉瓦建物。南面の東半分を手前に張出します。
バットレスで区切られた各面には縦長のアーチ窓を配し、窓の上部を切石で飾っています。
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両側の妻面に2線のアーチ形開口部が並びます。
西面の開口部はシャッターで閉ざされていますが、東面は空け放たれた状態。内部を窺う事が出来ます。
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柵の外から内部を写します。
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この線区の蒸気機関車は昭和47年に廃止されますが、機関庫は車両整備工場として残され、平成3年まで使われます。
その後長く元の姿を留めたまま放置されていましたが、最近になって屋根が取り外されてしまいました。
修復するのか解体するのか気になるところですが、平成25年4月現在工事に掛かる様子もなく、中途半端な姿を晒しています。
撮影した平成21年当時は屋根も健在、内部は機関庫として使われていた当時の名残を良く留めていました。
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使われなくなって約20年、窓は破れ雑草が繁茂していますが建物自体は然程劣化た様子もなく、つい最近まで現用施設であったかのようです。
元々が身綺麗に整えられていた建物では無いので風合いの変化を実感させないのかもしれません。
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機関庫の西側に残る給水塔。これも同時期に建てられたもののようです。
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各地に残る機関庫の中では大規模な扇型機関庫の幾つかが歴史的価値を認められて保護されていますが、このような小規模な機関庫は話題に上ることも無く、いつの間にかその姿を消しているのが現状です。
この和田山機関庫は煉瓦造の矩形機関庫の優れた現存例であり、貴重な鉄道遺産として伝えるべきものと思います。
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by sunshine-works | 2013-04-05 22:42 | 近代建築 兵庫県 | Trackback | Comments(4)
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Commented by yosaminoabiko at 2013-04-17 17:04
明治の煉瓦造りの機関庫は、わが国の貴重な鉄道文化遺産の一つです。
一度壊してしまうと、もう二度と取り返しがつきません。
これらの建築物は、それ自体が記念碑のようなものですね。
Commented by sunshine-works at 2013-04-22 23:19
yosaminoabikoさん はじめまして。
役目を終えたこのような施設が保存されるのに、すんなりとは行かないのが大方です。この機関庫も価値が評価されて残されたと言うよりも取り壊す要がなかったからと思えます。
このような明治期の鉄道施設は大変貴重なものです。なんとか保存活用の道を模索して欲しいですね。
Commented by jimotono-hito at 2014-07-19 00:01 x
地元民ですが僕もこの建物がとても好きで中学生の頃宿題の写生をしに行ったりしました。(出来上がりは酷かったですが・・・)
そういえば亡くなった祖父が働いてたそうでよくその昔話を聞きました。
こんど帰ったらまた眺めに行きたいと思います。
Commented by sunshine-works at 2014-07-22 00:18
jimotono-hitoさん 始めまして。
この機関庫は、駅からその姿が良く見え、県北の鉄道拠点和田山のシンボルとして地域の方々のみならず、来訪者にとっても、存在感のある建物です。
屋根が外された後の状況を掴んでいませんが、その後どうなっているのか、とても気になるところです。


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