2013年 03月 19日
大川橋
徳島県三好市の近代建築その2

前回紹介した三好橋から南へ約6キロ、祖谷口駅近くの小さな集落の脇に吉野川を渡る吊橋が架けられています。
この大川橋は昭和10年に竣工しました。
f0116479_13263089.jpg

明治以降昭和初期に至るまでの間、吉野川やその支流には鉄道や幹線道路を渡す近代橋が架けられて行きましたが、厳しい設置条件の為にその数は充分とは言えず、主要道から外れた地区で対岸へ渡るには渡船に頼るか長距離の遠回りを強いられていました。
有名な「かずら橋」をはじめとする木製吊橋も古くから用いられていましたが、近代化に伴って増大する通行量を裁くには限界がありました。
このような状況の中、祖谷で酒造家と林業を営む赤川庄八が資財を投じて設置したのがこの大川橋でした。
f0116479_13275287.jpg

f0116479_13273270.jpg

橋の傍に設置されている説明板の記載によると、祖谷口に土讃線の駅を設置する条件として、鉄道省はこの地区に橋を渡す事を求めたそうです。
交通不便なこの地区で酒造業と林業を営む赤川家にとって鉄道駅の設置がもたらす恩恵を考えれば、工事費の負担(当時の価格で5万8千円)は充分採算に合うものだったのでしょう。
*とは言え、現在の価格に換算して一億円を雄に超える額ではありました。
f0116479_13283846.jpg

板を並べた橋床を両岸の主塔から吊るされたケーブルが支えます。橋長150メートル、中央支間長124メートル。設計荷重の小さい人道橋とは言え、東洋一と言われた三好橋と比べても引けを取らない概要を誇ります。
f0116479_13292225.jpg

f0116479_1331042.jpg

f0116479_1331177.jpg

f0116479_13314629.jpg

地方道に架かる橋らしく、橋と住居が近接しています。家と家の間を抜けるように対岸へ橋が渡ります。
f0116479_13384356.jpg

f0116479_13391346.jpg

f0116479_13394669.jpg

f0116479_13402916.jpg

f0116479_13395637.jpg

f0116479_1337183.jpg

橋の幅は3メートル弱、馬車や引車が通行可能ぎりぎりの幅です。
頼りなさそうな木板の橋床ですが、鋼製トラスで補強された桁や太い鋼索によってしっかり支えられており、思った程の揺れも無く渡る事ができます。
f0116479_13463042.jpg

f0116479_13465615.jpg

f0116479_13482529.jpg

f0116479_13474153.jpg

橋の西詰から今渡ってきた対岸を眺めます。
f0116479_1349155.jpg

f0116479_1349214.jpg

f0116479_13495727.jpg


戦前に架けられ今尚使われている吉野川を渡る道路橋としては他に三好橋と吉野川橋がありますが、鋼製の吊橋としてはこの大川橋が唯一の現存例となります。
私設橋としてこれだけの規模の橋が架けられた例も珍しく、地域の生活を支えた近代化遺産として貴重な存在として残ります。
f0116479_13502632.jpg


by sunshine-works | 2013-03-19 20:25 | 近代建築 徳島県 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://hardcandy.exblog.jp/tb/18763998
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 米子市水道記念館      三好橋 >>