2013年 01月 14日
徳島の鉄道遺産その2 県境の猪之鼻トンネルを抜けた土讃線は、次のトンネルの手前で小さな川を渡って坪尻駅へと進んでいきます。 この地点に架けられた州津川橋梁には福知山線の旧線区間で使われていた明治期の橋桁が転用されています。 秘境駅として知られる坪尻駅から山伝いに川原へ抜けて進むこと数十分、トンネルとトンネルの間の狭い谷間に錆の浮いた一連のプラットトラスが見えてきます。 吉野川水系の州津川を渡るこの橋は土讃線の徳島県内区間最初の橋梁となります。 このトラスは、元々は福知山線の前身にあたる民営の阪鶴鉄道が明治32年に有馬口~三田間延伸に合わせて設置した輸入桁の一つで、第四武庫川橋梁として架けられました。 同線で昭和27年まで使われた後の昭和29年に当地へ移築され、2代目の州津川橋梁の桁として再利用されます。 移設に際して長さを合わせる為に中央部を短縮していますが、それ以外は明治31年の製造当初のままで使われており、徳島県内の鉄道橋桁としては最古のものと思われます。 他線区に比べて開業が後年となった四国の鉄道路線には、この州津川橋梁と同様に他から移築された橋桁が多数存在します。運行本数や列車加重が他線区ほど多くない四国では、古い規格の橋桁でも運用が可能だったと思われます。 坪尻駅から4本のトンネルを抜けて次の箸蔵駅へ。土讃線はこの先で大きくUターンして西へ方向を変えていきます。この屈曲部の頂点で渡る汐入川には昭和4年の土讃線延伸時に架けられた橋梁が現在も使われています。 小高い丘陵を進んできた線路が汐入川の谷間を越えて隣の丘陵へと渡る地点に架けられています。 丘の高さに合わせるために大小の橋脚が斜面や谷底から立ち上がり、頭上高くプレートガーダーを支えます。 橋脚のタイプは同時期に架けられた橋梁に一般的な円柱断面のコンクリート製。徳島県内の土讃線はすべてコンクリート橋脚が使われます。 この区間が開通した昭和4年以後土讃線は順次延伸を重ね、昭和10年に県南部の工区が開通して高知側からの延伸区間と繋がります。 この汐入川橋梁は難工事が連続するこの先の土讃線橋梁施工の雛形として、重要な存在となりました。
by sunshine-works
| 2013-01-14 13:58
| 近代建築 徳島県
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