2012年 10月 09日
倉敷教会
岡山県倉敷市の近代建築その5

倉敷駅を東へ程なく、住宅やマンションが並ぶ一角に、3階建ての目を惹く教会建物が見えてきます。
西村伊作の設計となるこの日本基督教団倉敷教会は大正12年に建てられました。
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木造3階建て、1階部分と塔屋の外壁を石組みとし、礼拝堂、塔屋、各面の張出部それぞれに切妻屋根を葺きます。
左右非対称の建物配置、あえて2階に設けた玄関、複雑に組み合う屋根、石材と木造の取り合わせ等々。当時の教会建築の流れと一線を画した斬新な意匠です。
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設計者の西村伊作は文化学園の創設者としても知られますが、多岐に亘る活動の中の建築設計に於いては、従来の常識に捉われない実用本位の建築様式を提案し、自ら多くの住宅を手掛けます。
厳格な様式性を旨としていた当時の教会建築の枠を超えて強い個性を放つこの教会も、同様な発想に基づいて設計されたものと思われます。
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三角形の妻面を意匠表現に用いる手法や石組みの外壁。西村伊作の手掛けた多くの住宅に見られる特徴です。
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スロープの側壁が敷地前面に立ちあがります。
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斜面を上って2階の玄関へ。
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スロープの下部には小さなアーチを構えます。
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西村伊作と倉敷は、この教会の設立者の一人、倉敷紡績社長の大原孫三郎を介して深い繋がりを持ちます。
互いの思想に共鳴した両者は、若竹の園保育所や倉敷北部に開発した近郊住宅を手掛け、優れた建築遺産を倉敷に残します。
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築後90年を迎える事となる建物ですが、程良く管理され状態は極めて良好と思えます。
信仰の拠所となったと共に倉敷の文化発展を支えた存在としても重要なこの建物は、中心街の景観に資する貴重な役割も担っています。
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by sunshine-works | 2012-10-09 21:26 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 池本 at 2012-10-10 01:21 x
コンパクトに纏まった素敵な教会ですね。白壁に石組みという取り合わせもとても美しいし、sunshine-worksさんの解説にもあるように『斬新な意匠』がとても面白いです。倉敷は僕にとって結構馴染みのある街なんですが、こんな教会が美観地区のすぐ近くに在るのは知りませんでした。機会を見付けて是非訪れてみようと思います。
Commented by sunshine-works at 2012-10-10 20:17
池本さん、こんばんは。
今日では、設計者の自由な発想で様々な意匠の教会が建てられていますが、当時としては、このように斬新な教会建築は極めて異例の事だったと思います。岡山に於ける文化の先進地域だった倉敷を象徴する建築ですね。


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