2012年 09月 23日
坂出港務所
香川県坂出市の近代建築その8

古くから各種の製造業が栄えた坂出は、戦後には沿岸の塩田跡地に重化学工業が進出し香川随一の工業都市に成長します。この坂出の交易を支え、四国一の貨物取扱高を誇る坂出港の一角に、かつて港務所として使われていた建物が残されています。昭和9年に建てられたこの建物は1階が大阪商船の乗降場、2階を港湾事務所に充てられ、昭和31年まで使用されました。
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昭和31年に港務所としての役目を終えたこの建物は、海上保安署として15年間使われ、その後は市施設や事務所として使われますが、現在は一部が市の倉庫となっている以外は空区画、手入れもされず荒れた状態となっています。
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鉄筋コンクリート3階建、2階と3階部分がそれぞれセットバックしながら重なるルーフバルコニー形式とし、塔屋上部に小さなドームを乗せます。
平面を組み合わせ、陸屋根を葺いた現在に通じる外観ですが、各所をメダリオンやモール、付柱等で飾り、古典様式の意匠を色濃く残します。
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正面中央に設けられた車寄せ。
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側面の入口です。
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入江越しに遠方からの眺め。
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坂出の交易を支える重要な役割を担った建物ですが、現在は港の一角に半ば放置された状態で残されます。
高松港務所が取り壊された現在、香川に残る戦前の港湾事務所としては唯一の存在として貴重な存在となっています。
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by sunshine-works | 2012-09-23 23:58 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(0)


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