2012年 05月 21日
豊稔池堰堤
香川県観音寺市の近代建築その3


観音寺の市街地から県道を南へ進むこと約10キロ、讃岐山地を越える峠道の途中に巨大な石積堰堤が見えてきます。
日本の近代土木史にその名を残す豊稔池は、農業用ダムとして昭和5年に竣工しました。
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古くから干ばつに悩まされて来た讃岐地方の中でも、豊稔池周辺の大野原地区は水利が特に悪く、安定的な農業用水の確保は長年の夢となっていました。大正末年に県の事業として始められたこの巨大ダムの工事は、地元農民を総動員する工事の末昭和5年に完工します。詳しくはこちらを参照下さい。
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日本で2例のみ現存する貴重なマルチプルアーチダム。石積みで造られたものとしては唯一の例です。
多連式アーチとも訳されるこの形式は、アーチを繋げて遮水壁を構成します。
それぞれのアーチが繋がる部分には巨大な柱状の堤体が組まれ、さながら城壁を思わせる景観を為します。
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一定量を越えた水を排出する為に空けられた洪水吐。増水時に大量に放出される様子は圧巻です。
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傍らには改修の際に取り外された古い設備が置かれています。
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この豊稔池の設計には数名の技師が携わっていますが、顧問として佐野藤次郎の名があります。
神戸市の水道ダムの設計者としても知られる佐野藤次郎は、各地で多くのダムや水道施設を手掛け、創成期の日本の水道事業に於いて中心的な役割を果たしました。
この豊稔池は氏の晩年の作となり、昭和5年の竣工を見る事なく昭和4年に没しています。
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遊歩道を上って湖面へ。堰堤の眺めです。
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遠方から眺めた堰堤。
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戦前に築かれたダムとして最大規模を誇るこの豊稔池は、その技術的な価値も然ることながら、見る者を圧倒する素晴らしい景観に於いても特筆されるべき存在と言えます。
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by sunshine-works | 2012-05-21 12:21 | 近代建築 香川県 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 池本 at 2012-05-21 16:31 x
緑と青空によく映えて、無骨なフォルムが実に印象的ですね。こんなダムが香川にあるとは知りませんでした。祖父母が香川在住だったので、ため池群は僕にとっても馴染みの存在だったんですが、こんな年代物のダムが現存していたとは…。機会があれば僕も是非行ってみようと思います。素晴らしい物件を紹介して下さって有り難うございます。
Commented by sunshine-works at 2012-05-23 17:31
池本さん こんにちは。
独特の造形や迫力、このダムの素晴らしさは写真で伝えきれません。機会があれば是非訪問されて、水しぶきが掛る程の真近でその迫力を実感して下さい。(安全には御注意ください)


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