2012年 04月 18日
香川県丸亀市の近代建築その2 丸亀駅から南へ続く商店街の一角に旧銀行店舗が残されています。 現在はイベントスペースとして使われているこの建物は、百十四銀行丸亀支店として昭和2年に建てられました。 設計・施工:清水組 鉄筋コンクリート造2階建て、建物外壁に人造石を貼ります。 北に正面を向け、東面に路地が通じます。現在はアーケードに塞がれ全貌を眺める事が出来ませんが、その優美な姿は、長きに渡って中心街のランドマークとして親しまれて来ました。 明治に始まり大正期に頂点を極める威厳と風格を備えた重厚な銀行建築は、昭和に入るとより幅広い顧客層を取り込む必要から権威主義的な印象を薄めていきます。 昭和2年に建てられた旧百十四銀行丸亀支店は、この時期に建てられた銀行建築の現存例の一つです。 建物正面の詳細です。 ジャイアントオーダーに代表される従来の古典主義銀行建築に比べると意匠表現は簡素化されていますが、要所要所に適度な装飾が施され、重々しさを減じつつ壮麗さを保ちます。 玄関はやや小ぶりな造り。銅板製の入口庇を張出します。 南北方向に交わる小路から東側面を眺めます。 側面の通用口にも銅板製の庇が付けられています。 軒や壁面を飾るレリーフ。側面は古典様式の伝統を残します。 店舗内部です。正確には2階建てではなく一部2階建てと呼ぶべきでしょうか。 内部に広い吹抜け空間を設け周囲に犬走りを巡らせる、当時の銀行建築で広く使われた造りです。 店舗2階部分です。 外装に於いてギリシア・ローマ風意匠は抑えめですが、内部空間にはトスカナ式の柱頭飾りやアーカンサスの彫刻が多用されており、旧来の銀行建築の雰囲気が色濃く残されています。 戦前に建てられた百十四銀行の店舗としては他に高松本店、長尾支店、坂出支店が現存しています。同一銀行の店舗が4店も当時の姿で残っている例は珍しく、建てられた時代に応じた様式の変遷を伺う優れた資料となっています。
by sunshine-works
| 2012-04-18 18:20
| 近代建築 香川県
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Comments(2)
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by
池本
at 2012-04-23 00:09
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2階部分も見物出来るというのが素晴らしいですね。一昨年だったかに僕も(当サイトの記事に触発されて)旧牛窓銀行本店を見物したんですが、その際、「犬走りはどんな感じになってるんだろう?」と興味を惹かれたので、今回こうして写真を拝見出来たのが嬉しいです。
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by
sunshine-works at 2012-04-23 20:48
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