2011年 06月 05日
神戸電鉄の橋梁
播磨の鉄道遺産その1

神戸市湊川から北へ伸びる神戸電鉄は昭和3年に神戸と有馬温泉を結んだ神戸有馬電気鉄道に始まり、80年を超える今日まで神戸と北播磨を結ぶ都市近郊鉄道としての歴史を刻んで来ました。
播磨地区に残る鉄道遺産その1はこの神戸電鉄各線開設時に架けられた橋梁を紹介します。
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神戸と小野市粟生を結ぶ神戸電鉄粟生線は昭和13年に神戸から三木福有橋駅(現在の三木駅)までの区間が開通します。三木市の中心街を流れる美嚢川を渡るこの橋梁は同区間の開設時に架けられました。
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広い川幅を渡っていく美嚢川橋梁、太いコンクリート橋脚の上には幾つもの異なる形式の橋桁が乗せられています。RC造のガーダー桁は竣工時に新設された物、3種類の鋼製プレートガーダー桁は他所から移設された物と推測されます。
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RC桁に挟まれて上路式の鋼製プレートガーダー桁が渡されています。
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この部分に用いられている上路プレートガーダーは明治期のポーナル桁と思われます。
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上路式ガーダー桁に下路式ガーダー桁が繋がる何とも珍しい光景です。
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橋桁の再利用はよく行われた手法ですが、このような継接ぎの組み合わせは極めて珍しい例です。戦時体制へ移行しつつあった当時、新興の中小私鉄だった三木電気鉄道(神戸電鉄粟生線の前身)が厳しい情勢下で寄せ集めてなんとか完成させたのでしょうか。
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三木城跡の石段から美しい橋の全容を望みます。
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神戸電鉄粟生線の小野~粟生区間は戦後の昭和27年に開通します。この時に架けられた加古川橋梁には二連の明治期の輸入橋桁が使われています。
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プレートガーダー桁に挟まれた2連のトラス桁が移築された桁です。明治中期にイギリスから輸入した120余りに及ぶ同形式の橋は全国の路線で使用されました。神戸電鉄加古川橋梁に移築された桁は大糸線または水戸線で使われていたものと推測されています。*詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
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その他のプレートガーダー桁とコンクリートの橋脚は昭和26年の築。戦後の築とは言え60年余を経た風格を備えています。
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現在2連残されている輸入トラス桁ですが、当初は3基が連なっていました。老朽化によって取り外された1基は播磨中央公園に再移築され歩道橋として利用されています。
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有馬口と三田を結ぶ神戸電鉄三田線は昭和3年に開通、同社では有馬線と並ぶ歴史を持つ路線です。
この三田線が有野川を渡る地点には同線開設時に架けられたと思われる古い形態の橋が残っています。
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リベットがビッシリと打たれ、補構材が狭い間隔で並びます。両端がJの字に折れ曲がった補構材は明治期に導入されたポーナル形プレートガーダーの特徴を受け継いでいます。この橋桁も他所から移設された物なのかも知れません。
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by sunshine-works | 2011-06-05 15:16 | 近代建築 兵庫県 | Trackback(1) | Comments(0)
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