2010年 11月 13日
岡山県津山市の近代建築その2 多くの鉄道近代化遺産が残るJR姫新線には同線開業時に建てられ、現在もその姿をとどめている木造駅が幾つも残されています。今回紹介する美作千代(みまさかせんだい)駅も現在の姫新線の基となった国鉄作美線開業時に設置された駅舎です。 姫路から新見に至る姫新線は約160キロの長い区間を結んでいますが、元々は津山-新見間の作美線と姫路-津山間の姫津線の二つの線区が繋がった昭和11年に両線が統合されて姫新線と呼ばれる様になりました。この美作千代駅は作美線の第一期工区である津山口-美作追分の開通時に設置された駅で、姫新線の駅舎の中で最も古い大正12年築の建物が現存しています。 木造下見板貼、和瓦葺き、切妻屋根の庇を持つ玄関、入口からまっすぐ正面に置かれた改札口等、この時代の地方駅舎に典型的なスタイルです。 左手に駅務室や発券窓口、右手に小さな待合室が配された駅舎内。 腰板や漆喰壁に長い年月を経た風合いを感じます。 鉄パイプ製の改札口。当初の木製から代えられていますが、これも結構古くからの物と思われます。 改札を抜けてホームに出ます。かつては向かい側にもホームが設置されていましたが、その後撤去されています。 線路の向かい側から駅舎を眺めます。 岡山の内陸部と播磨を結び、基幹産業だった林業の輸送を担った姫新線ですが、現在の姫新線には特急や急行は走らず、津山以東の区間は日中に僅かな本数の気動車が運行されるのみの典型的なローカル線区となってしまいました。 とは言え主要交通手段としての地位を他に譲った今日も同線は生活路線として貴重な役割を果たしており、交通不便な山村地域の発展に大きく貢献した姫新線の使命は今尚受け継がれています。 明治後期に起想され、幾多の曲折を経て開設された姫新線の歴史遺産として、開業時の姿を伝えるこの駅舎は資料的にも貴重な物です。
by sunshine-works
| 2010-11-13 16:01
| 近代建築 岡山県
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