2010年 07月 19日
旧遷喬尋常小学校校舎
岡山県真庭市の近代建築その4

久世駅から町の中心部へ向かう道の左手、グランドの奥に優美な木造建物が見えてきます。遷喬尋常小学校として明治40年に建てられたこの校舎は、この地で平成2年まで現役小学校として使われていました。設計:江川三郎八
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岡山県内各地で数多くの木造校舎を手掛けた県の技官、江川三郎八を代表する作品です。
ルネッサンス様式を基本に独特の表現を加えた江川式と呼ばれる一連の作品の中でも、とりわけ装飾性に富むこの建物は、とても小学校校舎とは思えない風格を備えています。
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二つの三角破風をマンサード屋根で繋ぎ、中央に校章を記した丸いドーマー窓を飾ります。
大きな屋根の内部、2階部分には講堂が設けられています。
(建物の特徴については、この建物を管理する財団のホームページに詳しい紹介記事があります。)
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煉瓦の基礎の上に御影石を積み、縦方向の羽目板の上部に下見板が張られます。
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胴蛇腹を挟んで2階部分も縦羽目板と下見板の順に張られます。窓の上部の壁面はハーフティンバー式に筋交いを露出させています。
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中央の玄関から校舎内部へ。公開されている館内を自由に見て回ることが出来ます。
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2階に設けられた講堂。昔の木造校舎にはこの様に2階を講堂とした物が多くありました。
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中央部が一段高くなっている折上げ天井。地元産の高級木材が用いられています。
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一部の窓には、板硝子が一般的となる前の古い手吹き硝子が残っています。厚さが不均一で景色が歪んで映っています。
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古くから商業が栄えた久世の町ではありましたが、これだけの校舎を建てるに際しては大変な財政負担が伴ったそうです。100年を超えて伝わるこの素晴らしい校舎からは、小さな地方の町にして県都岡山にもない豪華な小学校を建てた地域の人々の教育にかけた熱意を偲ぶことが出来ます。
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by sunshine-works | 2010-07-19 22:10 | 近代建築 | Trackback | Comments(2)
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Commented by tajiri8jp at 2010-07-20 19:20
ほれぼれするような校舎です。以前、自分もHPの伊賀上野のところに書いたのですが、こういう校舎からは、明治期の人間が学校とか教育にかけた気概のようなものを感じることができますね。
Commented by sunshine-works at 2010-07-21 18:13
tajiri8jpさん こんばんは。
昔読んだ本の中に、明治期に日本を訪れたある外国人がどんな田舎へ行ってもその土地で一番立派な建物が学校だった事に感心して、この国は将来大きく発展すると語った、とありました。こういった建物を見るにつけ当時の人々の教育への熱意を感じますよね。


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