2010年 05月 13日
岡山県吉備中央町の近代建築その1 岡山市の北に接する吉備中央町は平成16年に2町の合併によって誕生しました。町の東側を占める旧加茂川町の円城村に地域の歴史資料を展示する資料館が建っています。この建物は、かつてこの周辺で盛んだった葉タバコの取扱所として建てられたものです。明治30年築。 現在はその数も少なくなってしまいましたが、かつて日本各地の葉タバコ産地には生産農家と専売公社間の中継ぎを行う取扱所と呼ばれる施設が置かれ、葉タバコの集荷、選別、乾燥、梱包してタバコ工場へ送る役割を担っていました。 この建物は明治31年の葉たばこ専売法施行に際して全国に建てられた最初の取扱所の一つで、旧加茂郡一帯を範囲としていました。 木造平屋、寄棟造り、この時代の学校建築に多く見られる和風意匠の建物です。屋根裏が高く取られた大きな建物で、長さは30メートルに及びます。 嵩の高い葉タバコが収穫期に大量に集められる事、扱い品が専売品である事、湿気に対する対策等の理由から、葉煙草取扱所の建物はどれも大きく堅固な物だった様です。 玄関脇に飾られているのは荷馬車の車輪の様です。 西面から裏側へ この部分は妻面まで一面がガラス窓となっています。当初からの物かは不明ですが、葉タバコの選別に十分な採光が必要だったと言う事でしょうか。 裏側から東面へ 内部には民具や農具、歴史資料が展示されています。 かつて日本各地の葉タバコ産地に置かれていた取扱所ですが、国内生産量の減少に伴って相次いで廃所され、歴史のある取扱所の建物で現存している物はこの旧加茂川取扱所の他には数例しかありません。 日本の近代農業の発展に大きな貢献を果たした葉タバコ栽培の歴史を伝える上でも、資料的価値の高い建物となっています。
by sunshine-works
| 2010-05-13 20:00
| 近代建築 岡山県
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