2009年 08月 21日
旧山田村役場
岡山県和気町の近代建築その3

和気町の北部、山裾に広がる小さな集落に鉄筋コンクリート造のモダンな建物が建っています。現在は郷土資料館として使われているこの建物は昭和7年に旧山田村役場として建てられたものです。
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周囲一面に田園風景が広がる中、数件の民家が並んでいる以外これといった施設や商店もない、小規模な集落に唐突に1棟の近代建築が現れます。およそ村役場が置かれていたとは思えないくらいにひっそりとした一角に当時の最新意匠を盛り込んだモダン建築が建てられています。
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大きな玄関部分を中心にほぼシンメトリーに各部が配置されています。ゼセッションを基調としたデザインですが1階部分の尖頭アーチ窓や腰周りのルスティカ積の石壁が際立った特色となっています。
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昭和30年までの22年間村役場として使われた後、農協の施設を経て昭和60年に「和気町ふる里会館」に転用され現在に至ります。
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印象としては田圃の畔に建つ超モダンな庁舎といった趣きです。
規模として然程大きな村ではなく、大きな事業所があって財政豊かだった訳でもない、ごく普通の農村だった山田村に何故この様な最新デザインの豪華な役場が建てられたのか、なんとも不思議な気がします。
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建物裏面です。正面側とは異なった印象です。
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今まで紹介した和気町に残る近代建築は、どれも当時の地方都市の水準を大きく上回るものです。古い歴史に育まれた文化的素養や進取の気鋭があってこの様な優れた建物が建てられ、残されて来たのでしょう。
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by sunshine-works | 2009-08-21 08:04 | 近代建築 岡山県 | Trackback | Comments(0)


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