2009年 08月 05日
福崎の近代建築その2 福崎の中心として栄えた辻川にはもう一つの近代建築、旧神崎郡役所が現存しています。現在は歴史民族資料館として公開されているこの建物は明治19年に神西郡・神東郡役所として建てられました。 ポーチの上にバルコニーを設けた2層式の玄関とギリシア神殿風のオーダー柱が特徴です。現存する兵庫県内の郡役所としては他に旧七美郡役所や旧出石郡役所、旧三原郡役所等があり、この神崎郡役所が唯一2層式の玄関を持っていますが、玄関の違いを除けばこれらの建物は殆ど同じ造りに見えます。おそらくは統一の規格に従って設計されたものと推測されます。 玄関の左右に各2本のオーダー柱が並び、三角ペディメントを配した当時の役所等に多く見られるデザインです。柱は1階部分が角柱、2階部分が丸柱になっています。 玄関周りの詳細 この建物は郡制が廃止される大正15年まで郡役所として使用され、その後も公共機関の施設に使われました。老朽化により解体も検討されましたが、昭和57年に地元に寄贈され、移築の後に資料館となりました。 このあたりの状況も現存する県内の他の郡役所と良く似た経緯を辿っています。 建物側面と裏側。 少し高い位置から側面を窺います。桟瓦の屋根は如何にも偽洋風らしい趣です。 都市部に建てられる県庁や市役所と異なり、郡役所や町村役場は地域の近代建築の先駆として大きな役割を果たしていました。地元の大工や職人達は初めて手がけたこれら建物によって洋風建築を学び、従来の和風建築に取り入れていきました。都市部でも洋風建築物は中心街の一部に見られる程度だった明治19年に、これだけの建物を建てた地元の棟梁の技能は高く評価されるべきものです。
by sunshine-works
| 2009-08-05 21:18
| 近代建築 兵庫県
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