2009年 05月 23日
ダイセル異人館(旧日本セルロイド人造絹糸 技師住宅)1
姫路の近代建築その11

揖保川の豊富な工業用水が得られる網干の臨海部は、明治以降工業地帯として開発されて行きました。中でも明治42年に操業を開始した日本セルロイド人造絹糸は網干地区最大の工場として地元の経済発展に大きく寄与しました。現在のダイセル化学工業網干工場(日本セルロイド人造絹糸の後身)の広大な敷地の一角には工場創設時に建てられた2棟の洋館が残されています。今回と次回の2回に亘りこの美しい建物を紹介していきます。
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明治期に創業した他の近代産業と同様、日本セルロイドは工場開設に際してヨーロッパから数人の技師を招いて技術指導にあたらせました。これら技師達の宿舎として建てられたのがこの建物です。当時数棟が建てられたと思われますが、その内の2棟が現存しています。今回は現在同社の資料館として使われているこちらの建物を紹介します。
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説明板に拠れば「・・・19世紀のイギリスのコテージに類似している建物で、コロニアルスタイルと共通点がある・・・」との事です。軒を深く取り通風に配慮した亜熱帯地域に多く見られるベランダコロニアル風の建物です。同社の工場も手掛けた設楽貞雄が設計しています。
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神戸北野の異人館も同様なコロニアルスタイルの建物が多いのですが、この建物は南側に長く伸びた庇に特徴があります。神戸の異人館の多くがピロティをガラス窓で囲っているのと異なり、本来の開放式のままなのでトロピカルな雰囲気があります。
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下見板と羽目板貼の組み合わせの外壁、スレート葺きの折屋根、窓の上と切妻のペディメント部分にそれぞれ装飾を施すなど各部も凝った意匠です。
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建物裏側です。北面の2階に小さなベランダがあります。
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緑豊かで広々とした敷地に建つこの洋館は、町中で目にする洋館とはまた違った趣があります。当時は周辺に数棟が並び、異国情緒豊かな景色が広がっていました。
遥か遠い東洋の地方都市で暮らす外国人技師達にとって、故国と変わらぬ住環境を得る事は、なによりも大事な事だったと思います。
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by sunshine-works | 2009-05-23 18:58 | 近代建築 | Trackback | Comments(1)
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Commented at 2009-05-26 17:14 x
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