2009年 05月 11日
姫路の近代建築その8 前回に引き続いて兵庫県立大学姫路キャンパスに残る旧制姫路高校の建物を紹介します。旧講堂に隣接するこの建物は同校の創建時に本館として建てられたものです。大正13年築。 木造2階建て、下見板貼、ペイント仕上げ。講堂とよく似たデザインです。同時代の他の旧制高校や官立専門学校の木造校舎に共通する文部省の標準的な仕様に基づいた設計ですが、中央にトンネル状の通路を設けてあるのがこの校舎の特徴です。 元々はこの校舎の両横に棟が南北方向に繫がるコの字形の建物でした。中央のトンネルは各棟によって囲まれた中庭に正面側から抜ける通路となっていました。 幾何学表現の装飾は中央部分に集約されています。この中央入口を挟んで左右対称に建物が配置され、さらに正面側と裏側もほぼ同じデザインで仕上げられています。 中央の通路内部。当然ながら校舎への入口も設けられています。 講堂と同様ほとんどオリジナルに近い状態が保たれた各部は状態も良好です。 現在残されているのは中央部分だけですが、同じ規模で左右の棟が繫がる、木造校舎としてはかなり大きな建物でした。敷地内に多くの別棟も建てられ、更に周辺には付属施設や寮が並ぶ、大学に比肩する大規模な教育機関でした。旧制高校は実質的には大学の予科として位置付けられていましたので、今日の大学の教養課程相当と見做せば、相応の規模といえます。 姫路城を望む一角に開学した旧制姫路高校の歴史は、実質25年足らずでした。戦前の教育制度の象徴とも言える旧制高校は時代の変革の中でその役割を終えますが、豊かな地方文化が支えた教育風土はその後も文教都市としてその伝統を今に受け継いでいます。
by sunshine-works
| 2009-05-11 20:52
| 近代建築 兵庫県
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