2009年 02月 21日
加古川の近代建築その3 JR加古川駅から中心街を南へ進んで程なく、住宅街の公園に隣接してクラッシックな装いの図書館が見えて来ます。この建物は旧加古川町公会堂として昭和10年に建てられました。設計:置塩 章 現在のJR加古川駅周辺は旧加古川町に該当する地域で、商工業の中心地として発展しました。駅からこの公会堂周辺にかけては多くの公共施設や行政機関が置かれ、都市化の進んだ一帯でした。 加古川の市制移行は戦後の昭和25年ですので、この建物が建てられた当時はまだ加古川町の時代でした。古くからの宿場町であり、播磨の交通の要衝として栄えた加古川は明治以降もその役割を強めて行きます。播州平野の綿作を背景とした織物業や手工業が盛んだったこの地は明治39年に日本毛織が進出したことによって近代工業都市として更なる発展を遂げ、財政面でも豊かな町となっていました。 早くから市制が敷かれた神戸と姫路に挟まれた加古川ですが、この公会堂の立派な造りを見れば両市に引けをとらない近代的な町だった事が覗えます。 公会堂らしく正面ファサードは特に豪華に飾られています。車寄せを持つ玄関アプローチ、長く突き出した庇、大きなステンドグラス、シンメトリーの中央に聳える塔屋等々いかにも置塩章らしいゴシック様式の重厚なデザインになっています。 建物側面です。縦長窓の上にアーチ窓がバランス良く並びます。軒下に並ぶ丸窓は換気口と思われます。 建物内部、2階へ上る階段。滑らかな曲面で仕上げられた手摺はこの時代らしい特徴です。 2階のロビーからは正面の美しいステンドグラスが目近に見て取れます。 加古川公会堂は播磨を代表する公会堂として長年使われた後、改装によって市立図書館に生まれ変わりました。 文化の薫り漂う建物の雰囲気も良くマッチしており、地域の中心施設として親しまれたこの建物の利用法として、図書館は最適の転用事例だったと思います。
by sunshine-works
| 2009-02-21 18:16
| 近代建築 兵庫県
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