2009年 02月 09日
旧二見村役場(東二見市民センター)
明石の近代建築その4

山陽電鉄東二見駅から南方向へ進んで程なく、コーナーに美しいアールを描くモダンな建物が見えてきます。この建物は旧二見村の役場として昭和13年に建てられました。
f0116479_21162282.jpg

この村役場が建てられた昭和13年当時、都市部に於いてはこのようなモダンデザインの建物は新奇な存在ではありませんでした。商業施設や学校建築、個人住宅など多くの建物に採り入れられ、従来の古典様式に代わる新しいスタイルとして広がりを見せていました。しかし、都市部以外の地域はまだまだ従来様式の建築スタイルが主であり、地域の町並みには馴染みの薄いものと思われていました。
神戸に近いとは言え、漁業と農業中心の長閑な村だった二見村にこのような斬新な役場が建てられた経緯は不明ですが、当時としてはかなり思い切った決断だった事と思います。デザインも凝っていますが村役場としてはかなり大きな建物でもあります。財政面でも豊かな村だったようです。
f0116479_21205790.jpg

大きなガラス面を持つ半円形の階段室がこの建物の特徴です。この時代の学校建築に類似のデザインがありますが、この建物はその特徴が際立って見えます。
f0116479_21225581.jpg

f0116479_21222027.jpg

f0116479_21232442.jpg

f0116479_21234567.jpg

f0116479_21373624.jpg

側面から見ると階段室の幅はかなり狭いのが判ります。まさに階段の幅分しかありません。
f0116479_21243628.jpg

f0116479_2125476.jpg

他の特徴として、随所に丸窓が使われています。漁業の町故に船に因んでの事なのでしょうか。全体の印象も船をモチーフにしているように見えます。
f0116479_21263516.jpg

f0116479_2127355.jpg

f0116479_21272911.jpg

f0116479_2138206.jpg

窓枠はすっかり換えられていますが、この面格子は竣工当事の物と思われます。
f0116479_21282163.jpg

f0116479_21284353.jpg

建物中央に設けられた玄関。石組のがっしりした構えですが飾りが少なく簡素な印象です。
f0116479_21291354.jpg

f0116479_21293363.jpg

f0116479_21295079.jpg

f0116479_21301874.jpg

現在の感覚ではこの種の建物に特段の物珍しさは感じませんが、都会を離れた漁村の一角に突然現れた個性的な建物には誰もが驚いた事と思います。竣工したのは戦時体制に向かう直前の時期でしたのでこれ以降は建築物自体が統制されていきます。おそらく戦前に建てられた町村役場としては最もモダンな庁舎だったのではないでしょうか。
f0116479_21305894.jpg


by sunshine-works | 2009-02-09 21:42 | 近代建築 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://hardcandy.exblog.jp/tb/10320761
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 多木化学本社建物      茨木酒造洋館 >>